佐久田さん作品新人賞 県工芸公募展 地元・アルゼンチンカラーで「三線」

 第43回県工芸公募展の表彰式が12月26日に行われ、アルゼンチン県系3世の佐久田アンドレスさんの作品「三線」が育成部門で新人賞に選ばれた。佐久田さんの作品は、アルゼンチンカラーに仕立てた三線。制作過程で難しかった部分について「歌口と端、頭をきれいに整えることだった」と振り返る。受賞に「努力を認められてうれしい」と喜んだ。
 佐久田さんは「ウチナーンチュにとって三線はただの楽器ではなく、文化の象徴」と考える。作品を通して「海外のウチナーンチュもこれだけ沖縄のことを思っている。海外のウチナーンチュも頑張っていることを伝えたい」と語った。さらに「一生懸命頑張れば何事でも成し遂げることができる。しかし挑戦しなければ、できるものもできない」と強調。「作品が県民の刺激となり、県民も沖縄の文化や歴史、受け継いできたことを大事にしていってほしい」と願った。
 佐久田さんは2011年度に浦添市南米移住者子弟研修生として初めて来沖。第5回世界のウチナーンチュ大会では、県から将来におけるウチナーネットワークの担い手となる「次世代代表」に選ばれた。浦添市からは「ウラシー民間大使」に認証されるなど、母国アルゼンチンと沖縄県、浦添市の懸け橋として活躍している。
 三線は琉球古典音楽野村流音楽協会師範の銘苅盛隆氏に師事し、琉球古典芸能コンクールで新人賞を受けた。
 空手は沖縄小林流空手道協会志道館無聲塾に所属し、黒帯の腕前を持つ。19年に三線製作事業協同組合の講座で初めて三線作りを経験したが「まだ足りない」と、尚工房の岸本尚登氏にお願いして学んだ。
(安里玉元三奈美通信員)

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