菅野メジャー移籍断念は巨人への〝恩義〟から?

巨人・菅野

【記者の目】ポスティングシステムによるメジャー移籍が実現しなかった巨人・菅野智之投手(31)は、外野から「結局はカネか」「メジャーでやりたいならどんな条件でも行くべき」などと散々な言われようだ。菅野の希望額とされていた条件は、菊池雄星投手が2019年にマリナーズと契約した4年総額5600万ドル(約57億7000万円)。同等の契約が見込めず、最終的に巨人残留を選択したことから、そんな印象を与えてしまったのだろう。

菅野は巨人との契約更改後の会見で「今回、おカネで残ったのかと言われてますが、おカネのためにやっているわけではない」「ポスティングという形で行くのならどんな条件でも行くという声もありますが、判断するのは僕なので。僕の人生なので」などと反論していたが、本当の判断基準は何だったのか?

代理人とのやりとりなど守秘義務があるものは当然、口にできないが、そもそもポスティングだと球団への譲渡金が発生する。最初から巨人側と『ある一定のライン以下の契約ではポスティングは認めない』という約束があったと仮定すると、いろいろな面でつじつまが合う。菅野がそれを口外しないのは、条件つきながらせっかくポスティングを認めてくれた球団側に恩義を感じているから。菅野は巨人を悪者にしないため、口を閉ざしているというわけだ。

もともと菅野はポスティング申請した昨年12月8日の会見でも、メジャー移籍ありきで報道されることを懸念し、巨人残留の選択肢も示唆した。球団との「条件付き(57億円)ポスティング」の実現が難しいことを最初から覚悟していたフシはある。

となれば…。菅野はFAだったらどんな条件でも行く。今季終了後のメジャー挑戦は、今度こそ避けられないということか。

(運動部デスク・溝口拓也)

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