小林可夢偉がファステストの快走。制したのはAXRの31号車キャデラック【デイトナ24時間予選レース】

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権は1月24日、開幕戦デイトナ24時間レース(1月30〜31日決勝)のスターティンググリッドを決める予選レース『モチュール・ポール・アワード100』をフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行ない、フェリペ・ナッセとピポ・デラーニがステアリングを握ったウェーレン・エンジニアリング(アクション・エクスプレス・レーシング)の31号車キャデラックDPi-V.Rがトップチェッカーを受け、開幕戦のポールポジションを確定させた。

 22日金曜から走行セッションが行なわれている、デイトナ24時間の公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』。今季はそのテストウイークエンドにおいて、決勝のスターティング・グリッドを決める100分間の予選レースが初めて行なわれることとなった。この予選レースには、各チームからふたりのドライバーが出走する。

 2019、2020年とデイトナ24時間レースを2連覇中の小林可夢偉は、昨年まで出走していたウェイン・テイラー・レーシング(WTR)がアキュラARX-05へと鞍替えしたこともあり、今年はジミー・ジョンソン/シモン・パジェノー/マイク・ロッケンフェラーとともにアリー・キャデラック・レーシング48号車キャデラックDPi-V.Rで参戦する。

 その可夢偉は、走行初日となった22日のプラクティスセッション1でいきなり全体ベストタイムをマークするなど、デイトナ3連覇に向け好発進を切った。

「デイトナ24時間に戻ってくることができてとても嬉しい」と初日を終えた可夢偉はIMSA公式サイトにコメントしている。

「昨年までと同じクルマ・エンジンながら、違うチームで戻ってきましたが、クルマのフィーリングはとても良いです。このパッケージは、とても合っていると感じます。マシンに乗っている時は、とても心地よかったです」

小林可夢偉がラインアップに加わる48号車キャデラックDPi-V.R

 予選レースのグリッドを決める23日土曜日の予選では、31号車キャデラックのナッセがトップタイムをマークするも、その後の車検で最低重量違反があったとして5グリッド降格に。予選レースは、55号車マツダRT24-Pを駆るオリバー・ジャービス(/ハリー・ティンクネル)が先頭でスタートすることとなった。

 また、フィリペ・アルバカーキが5番手タイムをマークしていたWTRの10号車アキュラARX-05にも違反が見つかり、24日の予選レースのグリッドではDPiクラスの最後尾に回っている。

ウェイン・テイラー・レーシングのアキュラARX-05

 48号車陣営はジョンソンと可夢偉が予選レースに出走。23日の予選ではジョンソンがアタックを担当し、DPiクラス内ではもっとも遅いタイムをマークするが、上述の2台の降格により5番グリッドから予選レースをスタートすることとなった。

■31号車が追い上げて優勝。可夢偉組は6位に

 ダンプコンディションでスタートしたレース序盤は、3番手スタートだったチップ・ガナッシ・レーシング01号車キャデラックDPi-V.Rのケビン・マグヌッセンがリードする展開となった。マグヌッセンはウエットタイヤでリードを築いたが、2度目のフルコース・コーションの際に彼ら以外のDPiマシンすべてがスリックを履くと、JDCミラー・モータースポーツの5号車キャデラックDPi-V.Rを駆るトリスタン・ヴォティエに首位の座を譲ることとなる。

序盤に好走を見せたマグヌッセンだったが、タイヤ戦略により後退を喫す

 中盤、じりじりと順位を上げていた31号車キャデラックのナッセが、ヴォティエからリードを奪う。最後のピットストップでデラーニがマシンに乗り込むと、2位の55号車マツダに3.6秒の差をつけてトップフィニッシュを飾った。3位には5号車キャデラックが入り、4〜5位にはアキュラの2台がマイヤー・シャンク・レーシング、WTRの順で並んだ。

 ジョンソンと可夢偉の48号車キャデラックは総合6位でレースを終えたが、後半を担当した可夢偉は35周目に1分36秒298というこのレースのファステストラップをマークしている。

 予選レースを制したデラーニとナッセは、WEC王者のマイク・コンウェイ、NASCAR王者のチェイス・エリオットとともに次週のデイトナ24時間決勝をポールポジションからスタートする。

2位に入ったマツダDPi。今季は1台体制での参戦となり、55号車がIDEMITSUリバリーをまとう

 LMP2クラスではPR1/マティアセン・モータースポーツの52号車オレカ07が制し、クラスポールを獲得。今季より新設されたLMP3は、ミュルナー・モータースポーツ・アメリカの6号車デュケインD08が制している。

 GTLMクラスではコルベット・レーシングの2台がワン・ツー・フィニッシュでフロントロウをロックアウト。決勝レースのPPを獲得したのはポルシェから移籍したニック・タンディが乗り込む4号車シボレー・コルベットC8.Rだった。

 GTDクラスはターナー・モータースポーツの96号車BMW M6 GT3が制している。

 なお今回の100分レースでは、さまざまな問題により、何台かのマシンがフィニッシュせずに途中でピットに入ってレースを終了することなどを選んでいるほか、決勝レースに向けたBoP(性能調整)の変更を睨んだ“三味線疑惑”などが取り沙汰されている。

LMP2クラスを制した52号車オレカ
GTLMクラスを制した4号車シボレー・コルベットC8.R
デイトナ24時間予選レース暫定リザルト(PDF)

© 株式会社三栄