佐世保と豪の交流に尽力 国際親善名誉市民 聖和女子学院中高2代目校長 シスター、クレメントさん死去  昨年12月 追悼ミサ 参列者、思い出胸に悼む

歓迎会であいさつをするクレメントさん=佐世保市栄町、佐世保玉屋(1991年撮影、佐世保日豪協会提供)

 長崎県佐世保市の国際親善名誉市民で「善きサマリア人修道会」のシスター、メリー・クレメントさんが昨年11月に亡くなった。享年93歳。聖和女子学院中高(同市)の2代目校長を約20年務め、佐世保と母国オーストラリアとの国際交流などに力を尽くした「慈愛の人」だった。
 市によると、国際親善に功績があった外国人に贈られる称号「国際親善名誉市民」は現在25人で米海軍佐世保基地の司令官経験者が主。クレメントさんは1983年9月に選ばれた。
 同校によると、本名はマリー・エイデル・ベースデンさん。オーストラリアで生まれ、大学卒業後、英語教師に。57年に同修道会に入会した後、カトリック系の学校で教員を務めた。63年に来日し、67年から83年まで聖和女子学院中高の校長を務めた。
 生徒や保護者、教員を気に掛け、「太陽のような」温かい人柄だった。同校元教員の櫻井信行さん(71)は「新任時の校長でいつも相談に乗ってもらった。厳しくも愛情深く第二の母のように、かわいがってもらっていた」と懐かしむ。
 市などによると、クレメントさんはオーストラリアからの留学生受け入れなど国際交流にも貢献。同校の生徒有志がオーストラリアの学校などを巡り、歌を披露する演奏旅行を始め、佐世保市とコフスハーバー市が姉妹都市を締結する契機ともなった。同校退任後、母国に戻り、シスターとして布教活動や教会を訪れる人たちに教育を施すなどの活動を続けたという。
 昨年11月18日、母国の病院で死去。昨年12月16日、同校で追悼ミサが営まれ、参列者がそれぞれ、クレメントさんとの思い出を胸に悼んだ。
 読書を好み、ジョークで周りを笑顔にする一面もあったクレメントさん。校長を務めた最後の年の卒業式では生徒たちに「A Beautiful Human Life(美しい人生を)」という言葉を贈った。彼女が植えた教育や国際交流の種は、今後もさらに大きく花開いていくことだろう。

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