トヨタ、1998年以来のWRCモンテカルロ優勝&ラトバラ新体制の初勝利を1-2で飾る

 1月24日、WRC世界ラリー選手権2021年シーズン開幕戦モンテカルロの競技最終日が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)とエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)によってワン・ツー・フィニッシュを達成した。また、カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)も総合4位で完走し、全車が難関のラリーで上位フィニッシュを果たす、幸先の良いシーズンスタートを切った。

 今年で110周年を迎えた伝統のラリー・モンテカルロ。そのデイ4はモナコを基点に北西部に広がるフレンチアルプスの山中で、2本のステージを各2回走行するスケジュールで行われた。

 前日のデイ3終了時点でオジエ、エバンス、ロバンペラの3名がトップ3を独占していたトヨタ陣営では昨シーズン、最終戦までタイトルを争ったオジエとエバンスが優勝争いを繰り広げることに。
 
 そのバトルをリードするオジエは、デイ4のオープニングとなったSS12でベストタイムを記録し僚友とのタイム差を13秒から21秒に広げると、続くSS13ではエバンスに後塵を拝するも、再走ステージとなるSS14、最終“パワーステージ”でも手を緩めることなくプッシュを続け2ステージ連続でベストタイムをマーク。この結果、パワーステージでのボーナスを加算しポイントをフルマークする形で2年ぶり、通算8度目となるラリー・モンテカルロ優勝を飾り、WRC通算50勝を達成した。
 
 トヨタにとってこの勝利は2017年からシリーズに投入しているヤリスWRCでのモンテカルロ初制覇となり、メーカーとしてはカルロス・サインツがカローラWRCで優勝した1998年以来、通算4回目のモンテ優勝となっている。なお、2021年はトヨタが初めて同イベントを制した1991年(サインツ/セリカ GT-FOUR)から30年目となる記念すべき年でもあった。

「完璧な形でシーズンをスタートすることができた。僕は子供の頃にこのラリーを見て、いつかはドライバーになりたいと夢見ていた」と語るのは、昨シーズン限りでの引退を撤回しトヨタとの契約を延長して今季に臨むオジエ。

「この週末、ヤリスWRCは素晴らしくフィーリングはとても良かった。もう1年現役を続けるというのは、正しい決断だったと思う」

最後のラリー・モンテカルロで優勝を飾り、喜びを表現したセバスチャン・オジエ(中央)
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)

■ラトバラ新代表「最高の形でシーズンをスタートすることができた」

 そのオジエと最後まで優勝を争ったエバンスは2020年大会の順位を上回る総合2位でフィニッシュ。トヨタのワン・ツー・フィニッシュを支えた。一方、表彰台争いを演じたロバンペラはSS12でパンクに見舞われタイムを失い、総合4位でのフィニッシュに。しかし、最終パワーステージではオジエに次ぐ2番手タイムをマークしてみせ、ボーナスポイントのフルマークに貢献している。
 
 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムからシリーズ全戦に出場し、ヤリスWRCをドライブする勝田貴元は、昨年の7位を上回る総合6位で難関ラリーを完走し、自己ベストリザルトを更新してみせた。

 今季からチームを率いるヤリ-マティ・ラトバラ代表は「チームを心から誇りに思う」とコメント。

「何という素晴らしい結果だろうか! この役職に就いて初めて挑んだラリーでいきなり1、2、4フィニッシュを飾り、貴元も6位に入った。しかも、パワーステージでは最大のポイントを獲得したのだから信じられないよ」

「本当に素晴らしいチームと最高のドライバーたちだ。ラリー開始直後から彼らは速く、その後セブ(セバスチャン・オジエ)は他を圧倒するようなステージタイムを何度も記録し、勝利を得た」

「エルフィン(・エバンス)はとても安定した走りを続け、週末を通してミスをしなかった。また、カッレ(・ロバンペラ)は今朝タイヤに不運なダメージを負って後退するまでは、表彰台争いに加わるチャンスがあった。それでも、総合4位は彼にとって良いスタートになったと言える」

「全体的に、最高の形でシーズンをスタートすることができたと思う」

 トミ・マキネンの跡を継いだラトバラ新代表に最高の船出をプレゼントしたトヨタ陣営。ドライバー、コドライバー、マニュファクチャラー部門の3冠獲得を狙う彼らが挑むWRCの次戦は、2月26~28日に行われるアークティック・ラリー・フィンランドだ。

セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)
代表就任後の初陣でワン・ツー・フィニッシュをプレゼントされたヤリ-マティ・ラトバラTGR WRT代表
自身最高位の総合6位でラリー・モンテカルロを終えた勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)

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