【新型コロナ】GoToトラベルが感染拡大に寄与した可能性 西浦教授ら論文発表

 京都大学の研究グループが、「GoToトラベル」キャンペーンが新型コロナの感染者増大に関係がある可能性があるとする論文を発表した。短期間に限定された比較だが、キャンペーン実施前より有意に発生率が上がっているとしている。

キャンペーン開始前より発生率1.44倍、観光目的に絞ると2.62倍

 論文を発表したのは京都大学大学院環境衛生学の西浦博教授らの研究グループ。研究では去年5月から8月にかけ24の都道府県から報告された新型コロナの感染例3978件を分析、そのうち817例(20.1%)が、県境を越えた旅行歴、または県境を越えた他人との接触歴があったことを突き止めた。さらに「Go Toトラベル」の開始前後の5日間で発生率を比較したところ、開始後の5日間(2020年7月22日ー26日)の発生率がキャンペーン開始前の5日間と比較して1.44倍だったことが明らかになったという。観光目的の旅行のみを対象にさらに絞り込んだ場合、発生率はさらに2.62倍に上昇した。

 論文では、東京都などは感染経緯の詳細が非公表であったりなど自治体によって公開情報に差があることや、間接的な影響などさらに調査する必要があるとしたものの、少なくともキャンペーン初期には感染拡大に影響した可能性があるとしている。この論文は医学雑誌「Journal of Clinical Medicine」の最新号に2021年1月21日付で掲載された。

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