月収100万の“パート主婦大家”が身をもって学んだ 「初心者がやりがちな失敗5選」

大阪在住の会社員時代にリストラや倒産に会いながらも貯金を続け、結婚をきっかけに住み慣れた大阪から千葉へ転居したパート主婦大家なっちーこと、舛添菜穂子さん。現在は不動産による収入が月100万円を超えるようになりましたが、最初の物件は決して順調ではありませんでした。不動産投資を志してようやく購入できたのが3年目。そこからリフォームをして客付け(入居募集)をするまでにも随分と時間がかかってしまったそうです。ここでは1棟目を稼働させるまでのエピソードを、初心者が陥りがちな失敗を交えてお聞きしました。


ムリな施工値引きはケンカの元

――2012年に初めて戸建てを購入したそうですが、どんな物件でしたか?

大阪府吹田市にある3LDKの戸建てで、駅から5分と立地は悪くありません。ただし築37年ということもあり、リフォームが必要でした。じつは購入前に内見したのは私ではなくて両親でした。両親だけでは心もとないので、インターネットで調べたリフォーム業者さんに同行してもらい、写真もたくさん撮ってもらいました。そのため物件のどこを直したらいいかは、業者さんからアドバイスいただけました。

――購入してすぐにリフォームをしたのですか?

それがリフォーム業者さん探しから難航しました。そもそも物件を仲介してくれた不動産業者さんがリフォーム手配もできる会社で、リフォームや物件管理を自社で請け負うことを前提に指値交渉などをしてくれたのです。その辺のことをよく理解していなくて、90万円というリフォームの見積もりをみて「高い」と思ってしまったのです。後から考えると妥当な内容と金額でした。しかし、当時読んでいた不動産投資の本に書いてある価格だと50万円程度になるはずと思い込んで、そのまま不動産業者さんに伝えたところ怒らせてしまったのです。これは「初心者が陥りがちな失敗①」です。

――本に書いてあることがすべて正しいと思い込んでしまったのですね。

そうです。実際には施工内容はもちろん、職人さんに直接頼むのか工務店に依頼するのか、繁忙期なのか閑散期なのか、単発なのか継続して仕事が発注できるのか、など複合的な要素によって価格は決まるものです。ちなみに内見に同行してくれた業者さんとは工期が折り合わず、困った私は友人の紹介のリフォーム業者さんに見積もりをお願いしました。ところが、出てきた金額は120万円でした。

――予算オーバーの見積もりは、どうしたのですか?

予算500万円に対して、物件価格は350万円です。諸費用もかかっていますから100万円以上というのは支払えません。これなら最初の業者さんで決めておけばよかったと後悔しました。しかし、一度こじれてしまっているので今更頼めません。そこで一旦お断りして、また別の友人から新しいリフォーム業者さんを紹介してもらいました。「高かったらどうしよう」とドキドキしながら見積もりをとったところ、80万円でリフォームしてもらえることになりました。

客付けは賃貸専門業者が理想

――ここから順調に進展したのですか?

いえ、苦労はまだまだ続きます(笑)。そもそも購入したのが1月です。賃貸不動産の繁忙期は1月頃からはじまり3月がピークです。これは転勤や進学などで引っ越しをしなければいけない人が圧倒的に多いためですね。私としては繁忙期を逃したくなかったので、「とにかく早くリフォームをして、入居募集をしなくては……」と焦っていたわけです。しかし業者探しに1カ月以上もかけてしまいました。リフォーム工事そのものは10日程度でしたが、入居募集ができたのが3月早々です。「賃貸の繁忙期を考えてなかった」これが「失敗②」ですね。

――繁忙期ギリギリというところですね。

さらに私は大失敗してしまいました。本来であれば、あらかじめ地元の賃貸仲介の不動産業者さんに「その地域の家賃相場や募集条件はどうすればいいのか」などヒアリングすべきところ、していませんでした。当初の家賃設定は7万円でしたが、これは私がなんとなく決めました。「なんとなくの家賃設定」、これが「失敗③」です。リフォーム前に業者さんからもらった査定家賃があったので、これに少し上乗せした価格です。結果はと言うと、リフォーム済とはいえ、築古物件ですから高すぎましたね。

――結局、7万円の家賃では決まらなかった?

半年、空室が続きました。値付けの失敗もあるのですが、客付けをお願いした不動産業者さんも友人の紹介でしたが、それも失敗でした。というのも、その会社はとても親切ですが売買中心の会社で、賃貸仲介は専門ではなかったのです。また、場所が物件から1時間以上も離れています。もっと近い会社で賃貸仲介に強い会社を探して依頼すべきでした。これが「失敗④」です。

――問合せがまったくなかったのですか?

私は知らなかったのですが、後から聞いたら「もっと家賃が安くならないか」という問合せがあったそうです。こうした家賃交渉はよくあることで、大家さんがOKを出せば家賃は意外と下がります。ところがこの会社は昔気質なタイプなのか「物件を見もしないで値切るなんて!」と家賃交渉があった段階で、お断りを入れていたとのことでした。売却前提であれば家賃は高いにこしたことはありませんが、所有して家賃収入を得ることを目的とするならば、多少家賃を下げてでも空室期間が短いほうがよいです。ましてや戸数あるアパートではなく、戸建てですから決まらなければ1円も入ってきません。家賃交渉について、仲介会社と話し合ってなかった。これが「失敗⑤」です。

1戸目以降は軌道に乗り始める

――結局、客付けはどうしたのですか?

レインズ(不動産業者間ネットワーク)に掲載されていたこともあり、別の業者さんが募集してくれていたのです。それも気づいていなくて、ネット検索したら依頼していない賃貸仲介業者さんが募集広告を出してくれていたので驚きました。その会社に改めて電話入れて、客付け依頼をしたところ、ようやく入居者が決まりました。家賃は6万5,000円です。

――どんな方が入居されたのですか?

家の建て替えの間、仮住まいをされたいというご家族でした。いわゆる短期入居ですが、もうとにかく入居してもらいたかったので、すごくうれしかったです。入居者さんとはお会いする機会がありませんでしたが、お礼の手紙をお送りしたところ、お歳暮をいただきました。また、9月のご入居で当初3カ月とのことでしたが、延長されて翌年3月まで住んでいただくことができました。遠隔地での自主管理なので、退去時には仲介業者さんに退去立ち合いをお願いしたのですが、その際には電話で「住んでいただきまして、ありがとうございました」とお礼を伝えました。1戸目の戸建ては失敗だらけでしたが学びも多く、一度入居が付いてからはすごく順調で、「もっともっと物件を増やしていこう!」と思いました。

その後、戸建てだけでなく、団地や区分マンションなど少額の不動産を中心に買い進めている、なっちーさん。次回は、これから不動産投資を始める方に向けてのアドバイスを聞きます。

(※本記事は不動産投資を推奨するものではありません)

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