豚の「浮腫病」ワクチンが認可 国内初、琉大発ベンチャー企業が開発

 琉球大発の創薬ベンチャー企業で、ワクチン開発を手掛けるジェクタス・イノベーターズ(那覇市、代表・新川武琉大教授)は25日、豚に発症する「浮腫病」を予防するワクチンが、農林水産省から動物用医薬品として認可されたと発表した。浮腫病のワクチンは国内で初めて。医薬品製造会社のKMバイオロジクス(熊本市)との共同開発で、ジェクタス・イノベーターズが初期開発の概念実証(PoC)の過程を担った。

 動物用医薬品として認可を受けたことで、国内での製造・販売が可能になる。既に国内外14カ国でワクチンの特許を取得しており、海外への輸出や海外製造も計画する。今後はKMバイオロジクスが製造と販売を行う。農水省の認可は昨年12月10日付。

 豚の浮腫病は、豚が病原性大腸菌に感染した後、「志賀毒素」と呼ばれる毒素が作用することで発症する。発症すると、豚の目の周りが腫れ、神経症状で歩行困難になる。

 国内での発症率は10%ほどだが、海外では20~30%と高い。致死率も50~90%と高く、経済損失が大きい病気の一つだ。

 ワクチン開発は2009年ごろから始まり、ジェクタス・イノベーターズは12~14年に県の事業として支援を受けた。同社の強みである「分子設計技術」を使って製造することで、従来の欧州産ワクチンよりも大量製造ができ、低コストにつながる。

 新川代表は「未然に感染症を防ぐワクチンを普及させていく。消費者にとっても、安全なものを安価で安定的に供給できるよう貢献していきたい」と話した。

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