松浦火力1号 存廃「国次第」 海洋再生エネ推進に意欲 九電社長インタビュー

松浦発電所1号機の存続に前向きな姿勢を示しながらも「国がつくるルール次第」と語る池辺社長=福岡市、九電本社

 九州電力の池辺和弘社長は長崎新聞社のインタビューに応じ、脱炭素化で休廃止の可能性が取り沙汰される松浦発電所1号機(松浦市、石炭火力)について「高効率化して存続させたいが、国が近く示すルール次第」と述べた。一方で、海洋再生可能エネルギー事業の推進に意欲を示した。

 -政府は昨年、二酸化炭素(CO2)排出量が多い非効率の石炭火力発電所を2030年度までに休廃止する方針を表明した。
 (19年末に営業運転を始めた)最新鋭の2号機と比べ、1号機は30年経過している。だが、九州は太陽光発電の割合が多く、夜間の電気を賄う上で松浦が非常に役立っている。そう簡単にやめるという議論にはならない。効率を上げる方法はいろいろある。松浦では現在、下水の汚泥を石炭燃料に混ぜている。いずれアンモニアや水素、(排出ガスからCO2を取り出して地中に閉じ込める)CCSも技術開発段階だが活用が考えられる。

 -工夫すれば継続は可能ということか。
 民間企業なので、まだ稼げる施設をすぐ閉めるわけにはいかない。「効率が何%の施設を何年までに閉鎖する」「簿価が残っていれば補助する」といった国の規制や誘導のルールがまだ示されていない。毎年春に10年分の供給計画を国に提出しなければならず、それに反映させるにはルールを早く示していただきたい。

 -休廃止されれば地域経済への影響は大きい。
 松浦発電所が太陽光発電の調整に役立ち、地域の皆さんとうまくやっていることを国に伝えた。

 -北九州市沖で大規模な洋上風力発電所を整備中。五島市では2月から、国内初の大型潮流発電の実証実験を始める。
 潮流発電は太陽光と比べ安定して電力供給できるので、取り組む価値がある。ただ、出力は500キロワットにすぎず、原発の100万キロワットとは比べようがない。技術開発のスピードや導入コストは未知数だ。
 再生可能エネルギーとして今後最も期待できるのが洋上風力。太陽光も陸上風車も設置できる場所が少なくなってきた。適当な海域があれば国内外を問わず展開するつもりだが、長崎県は地の利があって有望。陸から離れた場所だと、電線を引くにもメンテナンスに行くにもコストや労力がかさむ。

 -佐世保市の相浦発電所跡地の活用は。
 具体的な報告は聞いていない。新型コロナウイルス禍で(他社からの)提案も出にくい状況だろうから、急がず慎重に考えた方がいい。


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