「Go Toで感染爆発」と京大研究チーム 今田耕司、辛坊治郎氏ら〝否定派〟は…

左から今田、辛坊氏

〝否定派〟はどう受け止めるのか…。京都大の西浦博教授らの研究チームが25日までに、政府の観光支援事業「GoToトラベル」の昨年の開始後、旅行に関連する新型コロナウイルス感染者が最大6~7倍に増加したとの分析結果を国際医学誌に発表した。政府のコロナ対策と経済対策の失敗が改めて露呈した格好だ。

研究チームは静岡、岡山、熊本など24県の感染者で5~8月に発症した約4000人を分析。そのうち、817人が県境をまたいだ旅行歴があるか、そうした人との接触歴があったという。GoToトラベル事業が開始された昨年7月22日前の6月22日~7月21日と、開始後の感染者数を比較したところ、1日当たりの感染者数は開始後約3倍に増加。さらに、出張ではなく観光目的で感染した人は最大6・8倍になった。

GoToトラベルは、新幹線の料金が半額になったり、ホテルの宿泊代が大幅に割引されるなど、格安で旅行ができるとして多くの人が利用した。だが、バスツアーでクラスターが発生し参加者の多くがコロナに感染したケースもあった。

事業に参加した宿泊施設や飲食店などは、感染対策も行っていたが、観光業界の関係者からは、政府などの感染対策そのものに疑問の声が上がっていた。

観光ビジネスコンサルタンツ代表取締役・西川丈次氏は「バスの消毒などバス会社は一生懸命に対策をしていますが、明確なガイドラインがないのが各社の悩み。大型バスには何人までOKといった具体的なガイドラインがあれば、その対応はできたはず」と話す。

事業は菅義偉首相肝いりの経済対策だったため“アクセルとブレーキ”のタイミングを間違ったことも否めない。

永田町関係者はこれまでの混乱ぶりをこう振り返る。

「東京都が除外されて昨年7月に始まった事業は、10月に東京が追加されたものの、下旬には札幌市と大阪市で停止され、12月には東京発着の高齢者の利用自粛となった。12月初旬までは、官邸内でも『感染者はGoTo利用者5000人のうち200人ほど。相関関係を示す証拠はない』と停止論を突っぱねていた」

ところが、感染爆発に歯止めがかからず、慌てた菅首相は方針転換。年末年始のGoToトラベル事業の全国停止を表明し、1月7日に首都圏1都3県の緊急事態宣言を発令。同事業も2月7日まで停止期間が延長されて現在に至る。

こうした経緯の末、今回出てきた研究結果が冒頭の「GoToトラベルで感染拡大」だっただけに、旅行業界からはため息しか出てこない。

「書き入れ時の年末年始が仕事にならず、緊急事態宣言が明ければなんとかなると思っていたんですが、“GoTo=悪”と言われると先行きは暗い。再開されるのはまだ先になりそうなので、宿泊業などの倒産もまだまだ増えるのでは」(都内の旅行代理店関係者)

一方、芸能界からは感染拡大に「Go Toは無関係」という声も上がっている。お笑いタレントの今田耕司は23日放送の読売テレビ「今田・八光の特盛!よしもと」で「もう堂々と言うてもええんちゃう?…」と切り出し「GoToはホンマは関係なかった」と述べた。フリーキャスターの辛坊治郎氏も追随する。

「年末年始はGoToやってなかったですから。今、感染が広がってるのは間違いなく年末年始(の影響)なんです」と指摘し「だからGoTo関係ないだろ!って話ですよ」と声を大にした。

また、緊急事態宣言についても「個人的な予想」とした上で「春になって暖かくなって紫外線も強くなって気候も変わってきたら、ガッと下がっていくこともあるだろうと。たまたま緊急事態宣言をかけたタイミングと合ったら『緊急事態宣言のおかげ』だと言われるかもしれない」と主張。続けて「まさにGoToと同じで、年末年始GoToを継続してたら、絶対『GoToのおかげで感染爆発だ』って言われてるわけです。だから、緊急事態宣言が緩いから収まらないかというと、それはまた別かなという気はします」と訴えた。

研究のチームの分析結果を受け、次回の反論が注目されるところだ。

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