鷹は周東がリード、ロッテは藤原&和田に荻野… 熾烈なパ・リーグの“1番打者争い”

ソフトバンク・周東佑京【画像:パーソル パ・リーグTV】

西武は秋山の抜けた穴を埋めるのが急務、スパンジーが入ることも

なかなか固定するのが難しいとされる1番打者。キャンプインまで1週間を切ったが今年はどのようなリードオフマンが生まれるのかも楽しみの一つ。昨季のパ・リーグでは固定できた球団は少なく、長打力のある選手が思い切って1番に起用されることもあった。一方でしっかりと適性を見せた若手もいた。昨年のパ6球団のトップバッター事情について見ていきたい。

○ソフトバンク

開幕前から絶好調だった栗原陵矢捕手が序盤はトップバッターとして出場。内外野をこなす汎用性とパンチ力を活かし、そのままレギュラーとしてシーズンを完走した。その栗原がクリーンアップに回ると9月以降は周東佑京内野手が定着。打率.270、出塁率.325と打撃面の成長も著しく、足のスペシャリストから鷹の切り込み隊長へと進化を続けている。

○ロッテ

序盤は主に2019年にリーグ3位の打率.315を記録した荻野貴司外野手が1番に座った。しかし7月22日の西武戦で右足を痛め、離脱。打率.333、出塁率.415と絶好調だったが、その後は福田秀や角中勝也外野手が入った。頭角を表したのは支配下登録された和田康士朗外野手だ。俊足と広い守備範囲を活かし、代走のみならずスタメン、1番打者としてもインパクトを残した。そのほか加藤翔平外野手も座った。新型コロナウイルス感染の影響で主力が大量離脱した終盤は、高卒2年目の藤原恭大外野手も1番に入り、力を見せた。

○西武

不動の1番打者だった秋山翔吾外野手(現レッズ)が退団し、その穴を埋めることが急務だった。新外国人のスパンジェンバーグ外野手(今季から登録は内野手)をトップバッターに据える思い切った策を採用した。その後は鈴木将平外野手、高木渉外野手、外崎修汰内野手や木村文紀外野手らを試し、最後は金子侑司外野手が1番打者に定着した。

楽天はドラ1ルーキーの小深田大翔内野手が定着、日本ハムは西川が多くを任された

○楽天

主に茂木栄五郎内野手が1番を務め、開幕当初は打率.300を超える活躍でチームをけん引していた。だが7月中旬からは茂木が3番に回る機会が増加。空いたトップバッターの座は最終的にドラ1ルーキーの小深田大翔内野手が定着した。小深田は112試合に出場して規定打席に到達。打率.288、出塁率.364。9番に回ることもあったが、切り込み隊長として充分な成績を記録した。

○日本ハム

パ・リーグの中で最も1番打者に困らないチームだった。西川遥輝外野手が座っていたからだ。西川は例年より少ない試合数の中で自己最多に迫る42盗塁をマーク。ともに4年ぶりとなる打率.300、出塁率.400にも到達し、多くの試合でトップバッターを任された。休養や打線の組み替えで大田泰示外野手、杉谷拳士外野手、淺間大基外野手らが代役を務めた。残留が決まり、今年もその期待は高いだろう。

○オリックス

T-岡田外野手を1番に置いて開幕したが、その後はさまざまな選手を起用することに。固定できなかったが、福田周平内野手が右手人差し指の怪我から復帰すると、シーズンで出塁率.366と好成績をマークするなど活躍。さらには佐野皓大外野手も77試合で20盗塁、盗塁成功率.833と機動力を見せ付け、終盤戦でトップバッターを務めることもあった。2選手は持ち味こそ異なるものの、チームに足りない部分を埋める貴重なピースとなった。

彼らは来季も切り込み隊長の座を争い、あるいは完全に自分のものとすることができるだろうか。1番打者の固定は、チーム全体を安定させるうえで重要なファクターだ。各選手の活躍は、チーム全体の中長期的なビジョンにおいても、非常に重要なものとなってくる。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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