レッドブルがオレカと提携。2024年のル・マンで水素プロトタイプシャシー供給へ

 ACOフランス西部自動車クラブは1月25日、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ(RBAT)とオレカが協力し、2024年からル・マン24時間レースに導入される予定の水素カテゴリー用シャシーの開発を行うと発表した。

 このプロジェクトはLMPコンストラクターのオレカと、レースカーの設計、空力、シミュレーション、その他の研究分野で知られるRBATの耐久分野の経験を結集するもの。彼らのパートナーシップの最初のタスクは、水素自動車のコンセプトの実現可能性調査を実施することだ。

 RBATとオレカは、新しいフォーミュラに水素燃料タンクを供給しているプラスチック・オムニウムと共同で作業を行う。

「このパートナーシップは、ACOがモータースポーツの未来に向けて正しい決定を下したことを確認し、将来の世代のためにゼロカーボンレースを目指す我々の野心を強調するものだ」とACOのピエール・フィヨン会長は述べた。

「高圧水素タンクを製造しているプラスチック・オムニウムとともに、オレカとレッドブル・アドバンスド・テクノロジーズを迎えられることをうれしく思っている」

「これらの一流企業が参加することで、自動車メーカー、とくに水素分野のワーキンググループに定期的に貢献しているメーカーからの関心がさらに高まることだろう」

「我々は困難な時代を生きているが、ACOはゼロカーボンレースとモビリティに向け、断固としてその道筋を追求している」

 RBATは、姉妹組織であるレッドブル・レーシングのF1カー開発やアストンマーティン・バルキリー、NTTインディカー・シリーズ用エアロスクリーンの開発など、いくつかの注目すべきエンジニアリング・プロジェクトに携わってきた。

 同社のCEOであるクリスチャン・ホーナーは「レッドブル・アドバンスド・テクノジーズが、パートナーのオレカとともにACOに選ばれ、ル・マン向け水素駆動耐久レースカーのコンセプトを開発できることをうれしく思う」とコメント。

「レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズは、レッドブル・レーシングのF1マシンの設計・開発に使用された多くのツールを利用できるだけでなく、他の最先端の車両プログラムでの豊富な経験を持っているため、ACOが設定した課題に取り組むための充分な資格を持っている」

「ル・マンの水素クラスは、持続可能なモータースポーツの未来を垣間見ることができ、輸送における水素の利用を推進することと、エキサイティングなレースを提供することの両方を約束するだろう」

■ミッションH24で開いた水素時代の道筋が、より鮮明に

 オレカのユーグ・ド・ショーナック社長は、ACOの水素耐久レースのコンセプトのようなプロジェクトには「コラボレーションが不可欠」であると語った。

「この野心的で前向きなプロジェクトに、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズとともに取り組む我々をACOが選んでくれたことを誇りに思う」

「また、プラスチック・オムニウムやグリーンGTなど、他のプロジェクトパートナーと一緒に仕事ができることに興奮している。2024年のル・マンで水素クラスの導入を成功させるには、コラボレーションが不可欠だ」

「オレカは挑戦と先駆的な変化を楽しんでおり、このような魅力的なプロジェクトで私たちの才能を充分に発揮することができる」

「LMHとLMDhによって耐久レースは魅力的な新時代を迎えようとしている。技術的にもスポーツ的にも、それは私たちの目を釘付けにすることだろう」

 ACOは数年前から耐久レースにおけるエミッションフリー・テクノロジーの可能性を支持してきた。

 その取り組みは“ミッションH24”に集中しており、このプロジェクトではアデス製LMP3カーのシャシーをベースに開発されたクルマでレースイベントに参加し、燃料電池パワートレインのデモンストレーションが行われてきた。

 最近、ストフェル・バンドーンが開発ドライバーに加わったミッションH24プロジェクトの次のステージは、ル・マンに水素レースのカテゴリーを導入することだ。

2020ル・マン24時レースでデモ走行を行ったグリーンGT LMPH2G

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