イタリア首相が辞任、新型ウイルス対策めぐり内紛 新連立を模索へ

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イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は26日、セルジオ・マッタレッラ大統領に辞表を提出した。コンテ氏は新たな連立政権の樹立を目指すとみられるが、先行きは不透明だ。

イタリアでは新型コロナウイルス危機対策への支出をめぐり、政党間で分断が生じている。同国の新型ウイルスによる死者は8万5000人以上にのぼっている。

コンテ氏は19日の上院の信任投票を賛成156、反対140の僅差で乗り切ったものの、絶対多数(161)には届かなかった。

コンテ氏は辞任したが、マッタレッラ氏がコンテ氏を再び首相に任命し、より強固な政権の樹立を命じる可能性がある。

一方で、他の人物が新首相に就任することや、解散総選挙を求める声が高まることも考えられる。

フィレンツェ大学法学教授だったコンテ氏は、2018年の首相就任以来、連立政権を率いてきた。コンテ氏は辞表提出後、エリザベッタ・カセラティ上院議長と、この政治的危機について協議した。

マッタレッラ氏は今後2日かけて各党党首と協議するとみられる。次の一手は同氏にかかっている。

辞任の背景

2019年に発足した第2次コンテ内閣は、中道左派「民主党(PD)」とポピュリスト(大衆迎合主義者)政党「五つ星運動」、リベラル派の少数政党「イタリア・ヴィヴァ」などで構成された。

2週間前にマッテオ・レンツィ元首相率いるイタリア・ヴィヴァが連立政権を離脱し、政局は危機的状況に陥った。レンツィ氏はコンテ氏が要求をのめば連立政権に加わるとした。

イタリア議会下院は18日、コンテ内閣の信任投票を実施。賛成321、反対259で信任された。しかし翌19日の上院での信任投票では絶対多数を獲得できなかった。絶対多数を下回れば、政治的な混乱を招く恐れがある。

レンツィ氏は主に、新型ウイルス危機に対する欧州連合(EU)の7500億ユーロ(約94兆5500億円)規模の救済策の一環である、EU復興基金に2090億ユーロ(約26兆3500億円)を拠出するというコンテ氏の計画に反対している。

レンツィ氏はEU復興基金について、デジタル分野や環境保全技術といった将来性のある分野に投資されるべきだと主張。官僚らではなく国会議員に資金の割り当てを決めてほしいとしている。一方で、苦境に立たされている医療サービスへの投資も増やしたいとしている。

昨年に欧州のパンデミックの中心地だったイタリアは現在、リセッション(景気後退)に陥っている。

レンツィ氏はは2014年~2016年に首相を務めた。現在の同氏の政党の支持率は3%を下回っている。

次に何が起こるのか

今後起こりうる動きは次の通り。

  • コンテ氏が首相留任を打診される可能性がある。ただし、議会の過半数の支持を取り戻すには政策の一部を見直し、人事を一新する必要があるだろう
  • レンツィ氏がコンテ政権への支持を拒否した場合、コンテ氏は連立政権に参加していない議員を説得する可能性がある
  • 現連立政権の主要政党・反体制派の「5つ星運動」と中道左派「民主党」は、新首相の下でほかの政党と連携することで合意する可能性がある
  • コンテ氏は右派政党を説得して連立政権に参加させることもできるが、右派政党はこのところ支持率を伸ばしていることから、その可能性は低いとみられる

(英語記事 Italian PM resigns in split over Covid response