爪ケア技術で独自認定制度 三条・マルト長谷川工作所

マルト長谷川工作所の爪ケア認定制度「マルトメソッドロジー」の講座
マック鈴木氏が企画・商品化した、ニッパー型爪切りなどのセット
マック鈴木氏

 作業工具・爪切りメーカーのマルト長谷川工作所(新潟県三条市)が、爪の手入れ技術の独自認定制度を今月始めた。「マルトメソッドロジー」と名付け、爪の扱いがプレーに影響するスポーツ選手などを対象に、爪の構造からメンテナンスまで幅広い知識を取得してもらう。爪の手入れの重要性を啓発し、自社製品の高性能な爪切りのユーザー開拓にもつなげる。

 爪切りにはさまざまなタイプがあり、同社は工具に似た「ニッパー型」を展開している。爪への負担が少なく、かつ形状に合わせて細かく切れるのが特長で、ネイルサロンなど業務用として使われることが多い。一方、1個4千円~1万円超と高価なこともあり、一般的な爪切りほどは普及していない。

 同社は、ニッパー型の利点をより周知するため、爪を詳しく知ってもらう必要があると判断。これまでも専門家を招き相談会などを開いていたが、参加者から「もっと詳しく学びたい」との声があり、体系的な認定制度を設けることにした。

 マルトメソッドロジーでは、専門家に講師となってもらい、爪の構造や切り方、栄養分の補給などの手入れ方法を幅広く伝える。複数のコースがあり、第1段階では自分の爪を正しく切ること、第2段階では人にケア方法を助言できるまで習熟していること、といったレベルを想定している。

 受講対象には、少年スポーツの指導者も見込む。野球やサッカーではプレー時に手や足の爪に負担がかかり、技術の向上には正確なケアが重要になる。指導者が適切に助言できれば、けがの防止などに役立つという。

 もう一つのターゲットは高齢者の介護予防向けだ。加齢とともに爪が割れやすくなったり、巻き爪になったりすることが増えるといい、正しいケアを施すことで健康な爪を維持できるようになる。

 昨夏から試行的に始めたところ好評だったため、正式に始めることにした。昨夏の講座は元大リーガーのマック鈴木氏も来県し受講。スポーツに取り組む子どもの爪ケアグッズ開発に生かしている。

 マルト長谷川工作所は今後、定期的な開催やスポーツ系学校での開講などを展開していく予定。長谷川直哉社長は「爪のケアはこれまで、歯磨きなどと違って学べる機会がなかった。正しい方法を知って、爪を大切にしてもらえればうれしい」としている。

◎プロ目線で商品開発 講座受けたマック鈴木氏

 マルトメソッドロジーを取得した元大リーガーのマック鈴木氏が、スポーツに取り組む子どもらを対象とした独自のネイルケアセットを企画・商品化した。自身の経験を元に、「野球をやっている子どもたちなどに使ってもらいたい」とアピールしている。

 鈴木氏は米大リーグのマリナーズやロイヤルズなどに所属し、通算16勝を挙げた。鈴木氏はBCリーグ・新潟アルビレックスBCの投手だった中山大氏を通じてマルトメソッドロジーを知り、昨夏に受講。スポーツにおける爪の重要性をあらためて認識し、中山氏と共同で「マックブランド」(新潟市東区)を昨年9月に設立。商品開発を進めてきた。

 マルト長谷川工作所の協力を得て同社のネイルニッパーとヤスリを採用。さらに同講座の講師からの助言でケア用のオイルやミスト、除菌消臭剤をセットにした。

 投手は爪にも大きな負担がかかっているといい、鈴木氏は「現役時代にこの方法を知っていれば、もう少し良いパフォーマンスができたかも」と振り返る。今後、少年野球教室などで爪のケアの必要性を啓発し、同セットも紹介するという。1セット1万5千円(税抜き)。

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