京阪電鉄は27日、2020年に発表した「京阪グループにおける今後の事業の方向性」に基づいたサービス拡充や、「安全安心」のさらなる向上に向けた施策展開の概要を発表した。本稿では13000系5次車の導入や、ATSの京阪線全線への導入など、注目トピックをご紹介したい。
13000系5次車、6編成36両導入へ
京阪電鉄は安全性の向上や環境への配慮、バリアフリーへの対応に主眼を置いて開発した新型車両13000系(5次車)6編成36両を新たに導入する。京橋駅1・2番線におけるホームドア設置(2021年度中竣工予定)に伴い、2021年2月以降に5000系車両を順次置き換え、2021年6月頃には置き換えが完了する見込み。
13000系(5次車)には「戸挟み検知装置」が新設される。これは乗降用扉の上部に設置したセンサーにより、扉開閉時に傘や杖などの挟み込みを検知して乗務員に知らせるもので、発車時の更なる安全性向上に寄与する。
また乗降用扉上部には「広告用デジタルサイネージ」(1車両あたり3カ所)を設置し、鉄道サービスの充実化を図る。すでに導入済みの13000系(7両編成)49両についても、2022年度中に設置工事が完了する予定だ。
その他にも、13000系(5次車)には、通勤型車両として初めて、車内防犯カメラを1車両あたり3カ所設置する。
6000系車両リニューアル
6000系車両は1983年から導入された形式で、鉄道友の会「ローレル賞」を受賞した。2013年からリニューアルが進められており、すでに14編成112両中10編成80両が刷新済み。2021年度はさらに2編成16両のリニューアルを行う。
これまでは床下機器の更新や補助電源装置のSIV化、車いすスペースや液晶型車内案内表示器、誘導鈴・ドアチャイム・開閉予告灯の設置といったバリアフリー対応、内装材の取り替えや座席の更新などが行われてきたが、2020年度のリニューアル車両からは乗降用扉上部(車内)に広告用デジタルサイネージの設置している。同装置に関しては、2022年度中に6000系リニューアル済車両全編成への設置工事が完了する予定。
新型ATS、間もなく京阪線「全線」へ導入完了
多情報連続式自動列車停止装置(ATS)は、出町柳―深草(現:龍谷大前深草)駅間での使用開始(2015年12月)以降、順次導入範囲を拡大してきた。
2021年1月9日(土)に京阪線の全営業線で導入が完了。また、2021年3月には寝屋川・淀の両車庫でも導入を予定しており、これをもって京阪線全線への導入が完了する見込み。
同装置は走行中の列車の速度を常時確認するほか、踏切や駅での異常発生にも対応するなど、従来にも増して保安度の向上に資するという。
「ホーム検知装置」搭載車両拡大、「転動防止ブレーキ」導入
京阪線の一部編成や大津線全編成で使用している「ホーム検知装置」の搭載車両も拡大する。ホームがない箇所で開扉状態になることを防止するもので、1月22日より6000系や8000系でも使用を開始した。
1月26日時点で、京阪線では3000系、10000系、13000系の全編成、6000系5編成、8000系2編成に搭載済み。大津線では全編成に搭載済み。
また2018年から導入が始まった「転動防止ブレーキ」も導入を進めている。これは開扉状態の際に自動的にブレーキを作動させることで乗客の安全性を高めるもので、2021年度中に全編成への導入が完了する見込み。
「新しい生活様式」に即したサービス拡充
非接触・非対面サービスの需要が高まる中、京阪もこれに応える。1月31日のダイヤ改正・3000系プレミアムカーの運転開始にともない、特急停車駅のプレミアムカー乗車口付近を中心としてキャッシュレス券売機を設置する。
またWebサイト「プレミアムカークラブ」では購入時にポイントを付与する「京阪プレミアムカークラブポイント」サービスを導入し、「プレミアムカー券」「ライナー券」の非対面販売を拡充する。
磁気定期券の発売は一部を除き2021年3月19日(金)に終了。回数券の利用も2021年3月末で終了し、ICカードを対象とした割引制度へ集約する。
その他にも、駅トイレ手洗台における蛇口ハンドルの自動センサー化も順次実施しており、アフターコロナ・ウィズコロナ時代に即したサービスを拡充していく構え。
鉄道チャンネル編集部