本山哲がスーパーGT復帰! 片山義章とTeam LeMans with MOTOYAMA RacingでGT300参戦

 1月28日、チーム・ルマンはプレスリリースを発行し、2021年から『Team LeMans with MOTOYAMA Racing』として、スーパーGT三度の王者である本山哲が、全日本F3選手権で研鑽を積んできた片山義章と組みアウディR8 LMSでGT300クラスに参戦すると発表した。

 今オフ、スーパーGT GT300クラスのなかで少しずつ噂に上がっていた話題のチームが、いよいよその姿をみせることになった。チーム・ルマン、そして本山、片山という注目のファクターが集う大注目のチームが、2021年のスーパーGT GT300クラスに参戦することになったのだ。

 スーパーGTで三度のチャンピオン、そしてフォーミュラ・ニッポンでも四度の王座を獲得し、1990年代から2000年代の日本のモータースポーツ界をリードした本山は、2018年を最後に「GT500クラスからの引退」を表明し、ニッサン系チームのエグゼクティブアドバイザー、さらにスーパーフォーミュラではB-Max Racing Teamの監督などを務めてきた。

 その間も、スーパー耐久参戦に向けて名を連ねるなどしていたが、なかなか実戦参加はかなわず、実質的にレーシングドライバーとしての活動はほぼ休止の状態だった本山。しかし2020年末にフォーミュラリージョナル、さらに全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権へのスポット参戦を行い、自ら「リハビリ」としてレーシングドライバーの感覚を取り戻していたが、そのモチベーションの再燃が、古巣チーム・ルマン、そして自らの名を冠したチームでのGT300参戦というかたちに繋がった。

 本山は新型コロナウイルス禍のなか、大きな打撃を受けた国内モータースポーツ界に対して危機感を感じていたという。このオフ、日本のモータースポーツ界を盛り上げるために「自分に何ができるのか」と自問自答し、多くの関係者に相談をもちかけた。

 そんななか、1998年に自らのFニッポン王者獲得のときに所属していたチーム・ルマンの太田雅文代表と出会い、お互いの夢を語ると、ふたりの夢が同じ方向を向きはじめた。「応援してくださるファンの皆さまのための、モータースポーツの新しいかたち」を目指して、新たなジョイントプロジェクト『Team LeMans with MOTOYAMA Racing』が立ち上げられた。

 こうして立ち上げられたチームは、2021年にスーパーGT GT300クラスに参戦する。新チームのゼネラルマネージャー兼エースドライバーは本山で、セカンドドライバーには2020年まで全日本F3選手権やスーパーフォーミュラ・ライツで活躍した片山が起用されることになった。そして注目のマシンは、アウディR8 LMSというパッケージだ。

 今回のプロジェクトはスーパーGT参戦にとどまらず、モータースポーツファンや、自動車好きの方々との距離を縮め、サーキットでの楽しみ方も含めた総合的なエンターテイメントを目指しており、その趣旨に賛同した岡山国際サーキットも協力を快諾しているという。

2019年まで全日本F3選手権に参戦していた片山義章

■「レーシングドライバーとして燃え尽きるまで走りたい」と本山

「自分にとって新たなチャレンジに興奮しています。まず、これまでの関係を維持しながらも、今回の新たなチャレンジにご理解をいただき暖かく見守ってくださるニッサン・モータースポーツ・インターナショナル様に感謝いたします。そして一緒に戦っていくチーム・ルマンのスタッフ全員の熱い気持ちに励まされました」というのは本山だ。

「自分自身、応援してくださる方々のためにレーシングドライバーとして燃え尽きるまで走りたいという欲求に突き動かされ、今日のこの日を迎えました。チームメイトの片山義章選手とは彼がF3を走らせている頃からコミュニケーションをとっており、十分なポテンシャルをもった若手ドライバーのひとりです。まだ経験の浅い片山義章選手と一緒にレースを戦うことで、彼が自分を超えるドライバーへと成長してくれることも楽しみですし、一日も早く、一緒に表彰台の中央に立つ日が来ることを願っています」

「こうしてまたスーパーGTの舞台に戻れるのも、僕をサポートしてくれるファン皆さんやスポンサーの方々、そしてチームの皆さんのおかげだと、心より感謝しています。今シーズンも皆さん、応援よろしくお願いします」

 また、「今回、まさしく帝王と呼ばれる本山哲選手のチームメイトとして一緒に走れることになり、少し緊張するとともに、自分にとって、とても素晴らしいチャンスだと思います」と語るのは片山だ。

「本山選手からレースに関するいろいろなことを学ばせてもらい、自分をスキルアップすることが楽しみで仕方ありません。自分にとって初めてのスーパーGT参戦ですが、周囲のベテランの方々の胸をお借りして勉強させていただく所存です。本山哲選手とともに表彰台の中央に立つことが、まずは最大の目標だと思います」

 そしてチーム・ルマンの太田代表は「我々チーム・ルマンにとって、ベテランの本山選手とルーキー片山選手が組んでレースをするという形は理想的だと思います。アウディR8 LMSに関しては、昨年のAudi Team Hitotsuyamaとのジョイントプログラムで多く経験させていただきましたし、今年も両社が強く繋がっていきます」とコメントした。

「2月に到着予定のニューマシンのポテンシャルにも期待しています。本山選手とは、1998年に彼にとって初めてのフォーミュラ・ニッポンのチャンピオンを一緒に獲得した歴史もあり、ふたたびこうして一緒に戦えることを誇りに思っています」

 使用タイヤや気になるカラーリング等、まだ公になっていない部分は多いが、帝王・本山哲、そして気鋭の片山、チーム・ルマンというパッケージはファンにとっても大いに楽しみなところだろう。

『Team LeMans with MOTOYAMA Racing』のアウディR8 LMSのイメージ図。今後正式なカラーリングが発表される。カーナンバーは『6』だ。
Team LeMans with MOTOYAMA Racingのチームロゴ

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