【県内主要企業・団体トップアンケート】オープンイノベーション 「興味」8割 企業風土の変革期待 「理解していない」4割 浸透度に課題も

県内企業・団体トップに聞く「OI」

 産学官7団体で長崎地域の振興を図る長崎サミットプロジェクトが昨年、推進を表明した「オープンイノベーション(OI)」は、地域外や組織外の力を取り入れ、課題解決や技術革新につなげる手法だ。長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)の県内主要企業・団体トップアンケートによると、回答者の8割がOIに興味を示したが、4割は理解していないと答えた。
 OIは企業や団体、大学、自治体、市民らが分野や立場を超えて連携する。県内では十数件のプロジェクトが進んでいる。
 OIに興味があるかを4択で尋ねると、回答者91人のうち31人が「大いにある」、43人が「少しある」とした。理由として「企業風土の変革につなげたい」(サービス業)、「さまざまな化学反応が期待でき、新たなサービスが生まれる可能性がある」(建設業)といった意見が寄せられた。
 ある製造業は「従来の産業構造だけでは成長に限界がある。新分野や新技術を入れて横串を通す考えが必要」と強調。生活インフラ系企業は「自前主義では難局を乗り切れない。地域浮揚に向け知恵を集結し、ノウハウをオープンにして共に汗をかく必要性を常々感じている」と閉塞(へいそく)感の打破に期待した。その一方、あるサービス業は誘致企業との連携を想定し「地場企業とのコラボがあるのか、将来人材の取り合いにならないのかという心配もある」と不安視した。
 興味が「あまりない」「全くない」は計17人だった。建設業の1社は「責任の所在やイニシアチブの面で一抹の不安が残る」と指摘。「掛け声のみで形式的。実態が伴っていない」(卸売業)、「情報の発信力に力強さを感じない」(製造業)など長崎サミットの実行力を問う声も挙がった。
 OIの浸透度は、4択のうち「よく理解している」11人と「まあまあ理解している」45人を合わせて6割にとどまった。「あまり理解していない」は28人、「全く理解していない」は8人だった。
 自社に役立つOIの具体例も質問(自由回答)。新商品・サービスの開発を挙げる企業が目立った。このほか斜面地や空き家の活用、多様な交通手段を一体的に提供するサービス「MaaS(マース)」に期待が寄せられた。
 長崎サミット以外の推進母体として、佐世保市の産学官金トップが集う「させぼ未来創造フォーラム」や、東彼波佐見町で内外の多業種の人が朝食をとりながら自由に語り合う「朝飯(ちょうはん)会」が紹介された。


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