田中獲得発表の日に社名変更告知 経済界でも攻勢を強める楽天

楽天本社が入る東京・世田谷のビル

傘下の楽天野球団(東北楽天ゴールデンイーグルス)が田中将大投手(顔写真)の復帰を発表したネット通販大手・楽天の株価が29日午前、東京株式市場で上げ発進。楽天は田中の獲得発表と同じ28日、社名を4月1日付で「楽天グループ」に変更することを明らかにしていた。

28日の終値が前日比75円高の1057円だった楽天の株価は、取引が始まった9時から2分で1083円まで上がった。その後は調整が続いているが、ネット掲示板には29日に発表されるとみられる新料金プランへの言及が相次ぎ、「田中マー君効果」の文言も見られた。

大手企業が社名に「グループ」を冠するのは、同じ4月1日に実施するソニーのほか、2015年のソフトバンクの例がある。

楽天の場合は、1997年の設立以降、電子商取引を中心に携帯電話、金融、スポーツ(サッカーの楽天ヴィッセル神戸株式会社と野球団)など主な連結子会社が内外で約40社に膨れ上がったことから、楽天本体を強化してグループの競争力と機動力を向上させるための改称だという。3月30日の定時株主総会で承認を得る運び。三木谷浩史会長兼社長は続投する。

楽天は子会社の楽天モバイルが昨年4月、月額2980円をウリに政府に後押しされる形で携帯電話業界に参入。大手キャリア3社(NTTドコモ、au=KDDI、ソフトバンク)に挑んでいるが、菅義偉首相らによる値下げ要求に大手が次々と応じたため、ハシゴを外された格好に。“苦境”の中、対抗すべく値下げプランの導入が取り沙汰されている。

一方で楽天モバイルを巡っては、ソフトバンクから転職した従業員が営業秘密を持ち出したとして逮捕される事件があったばかり。ネット上ではプロ野球の「ソフトバンク戦が面白くなる」とやゆする投稿も見られるなど、楽天はグループ企業の話題も絶えない。

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