どうしたらオリンピックを開催できるのか|電脳三面記事 ビル・ゲイツの妹(という設定)のライターが、ネットで話題になった事を斬りまくる、人気連載「電脳三面記事」。なぜそれでもオリンピックだけは開催できるのか――ちょっと考えてみましょう。皆様の意見もお待ちしております。

オリンピックを便利使い

なぜそれでもオリンピックだけは開催できるのか、考えてみましょう。

一、オリンピックはウイルスに打ち勝った証だから

精神論、いいですね。でも、医療体制が元に戻り、いろんなライトアップが終わればそのときにみんな証を実感できるので、わざわざ開催しなくても間に合ってます。それにそもそも、震災からの復興の証のはずだったのに、便利使いしすぎではなかろうか。

一、開催すれば激減している訪日外国人を呼び込める

これはなかなか良いのでは? 2019年には3000万人を超えた訪日外国人ですが、2020年には500万人を下回ってしまいまして、インバウンドに頼っていた産業は大打撃。GoToオリンピックが支援策ならば合理性がありますね。

2019年のインバウンド消費は4兆8000億円と言われています。大きな数字です。で、五輪予算はというと、延期によるプラスもあって1兆6440億円。お、これなら3兆円くらい儲けが出るのでなかなかに説得力がありますね、予算が青天井ならば。

でも、ない袖は振れませんよね。21年度予算のコロナ予備費は5兆円だそうですから、ここは無駄な出費をぐっと抑えてコロナ予備費を積み増すほうが良さそうです。インバウンドは開催の理由にはなりません。

一、ステイホームのキラーコンテンツとして

2021年、箱根駅伝の視聴率が高かったのは、正月を自宅で過ごした人が多かったからでは? 五輪も人をテレビの前にひきつけるのでは?

うんうん、これはなかなか良さそう。ただ、結局は減ったとは言え沿道に18万人も押しかけて、その模様がテレビで中継され、テレビ派と沿道派、つまり自重派と意に介さない派の間の溝を可視化してしまいました。

だったら五輪は無観客でやればいいのでは?

でも、東京なのに北海道でやるマラソンで完全な無観客はできないでしょう。これも理由にはならなさそう。それに、怒濤のドラマの再放送が立派に代役を務めそうです。

精神論はもうご勘弁を

一、五輪は夢を与えるから

これもまた精神論、いいですね。たしかに、自分の国で大イベントが開かれたという記憶はその後の人生になんらかの影響を与えるでしょうね。

でも、そんな時代もあったねといつか話せる日が来るのは、その後の人生がある人だけでして、命あっての物種。これも厳しいなあ。どうしたら堂々と開催できるだろう。

一、東京五輪を目指してきたアスリートがかわいそうだから

そうだよね。これは本当にお気の毒。だけど、この感染症によってライフプランが狂った人はたくさんいるよね。アスリートだけの問題ではないのです。

一、国立競技場をつくっちゃったから使わないともったいない

これもまた精神論ですが、もったいない精神は日本の美徳。2004年のノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイさんもお気に入りの言葉です。

ただ、もったいないの度が過ぎると損切りできないという問題も。せっかくの国立競技場は、現場への合流が求められる医療系学生の壮行会の場とすれば、成仏できるのではないでしょうか。何年かしたら、嵐が活動再開コンサートの会場に選んでくれるかもしれないし。

一、やるって言っちゃったから

布マスクの配布もそうだったね。配るって言っちゃったから止められなくて、でもホントは止めたかったのかな。進め一億火の玉だ。で

もでも、途中で布マスクの着用は止めて不織布に変えたじゃない? そういう柔軟性、大事だと思う。マウスガード派も、早いとこ宗旨替えをしたほうがよろしいかと思いますが。

一、中心メンバーが歴史に名を刻みたいから

この状態で開催すれば、間違いなく刻める。本人たちの意図とは別の形で。いっそ刻んでいただきたいけど、その対価、負担したくないなー。

どうしたらオリンピックだけは開催できるのか、私には力及びませんでした。国会議員だけは会食OKについても同様です。

蛭 芸子(ビル・ゲイコ)
「緊急事態宣言も二度目なら少しは上手に」と一致する情報は見つかりませんでした。

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