[訊かせてよ。]Vol.10 山本遊子が山本遊子にインタビューしちゃうのね?番外編

txt・写真:山本遊子 構成:編集部

ホスト山本遊子・ゲスト山本遊子でお届け!

みなさんこんにちは。こんばんは。フリーランスの映像ディレクター山本遊子です。2021年に入って早1ヶ月が経とうとしています。皆様、どんなふうに過ごしていましたか?私はというとおかげさまで忙しく、レギュラーの仕事に加え、自分にとって新しい試みと言えるような仕事と向き合い、目下取り組んでいる最中です。今月の「訊かせてよ。」は趣向を変えて、ホスト山本遊子・ゲスト山本遊子の少々トリッキーな構造でお届けします。おつきあいください。

――さっそくですが、2021年1月に取り組んだ新しい試みと言えるような仕事、とはどんな仕事ですか?

①YouTube番組「今なお考え中」

1つはナオランジェリーオーナー・ランジェリーデザイナー栗原菜緒さんがホストをつとめるYouTube番組です。この番組は、長年テレビの世界で活躍している鎮目博道プロデューサー・テレビマンユニオン津田環プロデューサーとご一緒する仕事です。お二人はAbema「Wの悲喜劇」という番組でタッグを組んでいらっしゃる、テレビ制作のプロ中のプロ!そんなお二人にお声掛けいただき、背筋の伸びる思いで現場に馳せ参じました。

今回のYouTube番組「今なお考え中」ではゲスト選定・トークテーマなど、ホストの栗原さんのアイデアを最大限に尊重しながら、長年テレビ制作をされてきた鎮目さん、津田さんのプロフェッショナルな番組制作技術が繰り出され、大変学ぶところが大きかったです。内容も他では決して見ることのできない画期的なYouTube番組となっていると思います。おたのしみに!(そういえば津田さんとはこの連載「訊かせてよ。」Vol.3でゲストに来ていただいたのが最初の出会いでした!)

津田環プロデューサー(左)、鎮目博道プロデューサー(右)
収録時はスタッフゼロとなるライブ配信スタジオで番組収録が行われました

②ジャズボーカリスト田辺美輪MV「Peel me a grape」

もう1つは友人でジャズボーカリストの田辺美輪さんから「自分のブランディングツールとなるミュージックビデオ(MV)を作って欲しい」という依頼を受けMVを制作中です。田辺さんはご自身が講師を務めるゴスペル教室がコロナで打撃をうけて以来、一念発起しライブ配信番組を自ら発信するなど精力的に活動しています。

MVは今まで私がやってこなかったジャンルの映像作りなので、企画からアーティストの友人にアドバイザーで入ってもらい、撮影・照明・ヘアメイクさんとプロフェッショナルな方々にお願いし…、と、普段人に気遣うことなく一人で仕事をしている私にとってはいい意味でストレスフルな現場でした(笑)。

「挑戦」とかしばらくしてなかったので…途中、脳がバグりました。でも自分としては一つ大きな山を登ろうとしている最中でワクワクしています!また、是非とも皆さんに見てほしい!広まって欲しい!という思いから色々企みをしまして、まさかのジャズと日本酒のコラボ!?連載Vol.9のゲスト日本酒ディレクター田中順子さん監修のグラスを小道具として提供いただきました。今後、このコラボがどう展開して行くかも見ていただきたいところです。

Peel me a grape撮影風景(写真提供:Mario Suzuki)

――上記の2つの映像作りを通してどんなことを感じましたか?

ここ10年くらいは子育てをしながらできる映像の仕事を、と考えていたので、企画・演出・撮影・編集まで自分でやってしまえるいわゆる「ワンオペ」の仕事がほとんどでした。今回はプロフェッショナルな方々との現場を体験することができ、とても刺激をうけるとともに「プロってこういうことか!」と様々な気づきがありました。

そして、2つの映像コンテンツに共通している重要なことがあります。それは「クライアントが女性であること」「クライアント自らコンテンツの主役であること」という2点。これは偶然ではない気がしていて、この2つの映像制作を通して何かしらのムーブメントがきていることを感じます。女が映像を使って自らを掲げ、戦い、発信し始めた!というような。

わたしもせっかくなので、この2つのコンテンツを仕掛けていく側として、最終的にイベントやライブなど、映像コンテンツから派生した「リアル」を作ることができないか?とまだぼんやりとしていますが、淡い野望を抱いています。

――映像制作における「プロ」とは何ですか?

ディレクターという立場に関してだけでいうと、限られた制作予算の中で、クリエイティビティを担保しつつ、誰と何をするべきかを見極めて、任務を遂行するということだと思います。それは一見あたりまえのことのようで、かなりの高度な経験と技術が必要です。

そして映像機材を誰もが簡単に扱えるようになり誰もが映像で自分を発信している今、5年前、1年前、もしかしたら3ヶ月前にやっていたやり方では通用しない場面も出てくるのが今の映像制作現場最前線だと感じています。とっても緊迫した切実な状況です。

これまで積み上げてきた自分を壊して世界にあわせていくことも厭わない姿勢がないと、プロとして仕事ができないのではないかと思っています。自分変えるか、世界変えるかって話ですよ!それからプロとは「立場をわきまえること」だと今回の仕事を通して強く感じました。

私自身MVではディレクターもやりながらプロデューサーを兼ねるという、身の程をわきまえない行動をとってしまったこともあり、スタッフのみなさまにご迷惑をおかけしてしまいました。でも、それでも、だからこそ、一方ではそれでいいんじゃない?と開き直っているところもあります。

「できないところは助けてもらいたい」と言える、そういう素直さもこの業界でやっていくには必要だとも思っています。新しいものを生み出す、映像を作るってとっても大変なことですからーー!

そんなわけで今月はちょっとまじめに硬い口調になってしまいましたが、来月はまたいつものゆるいトーク形式でお送りします。今後とも流転して変容していく「訊かせてよ。」をお見逃しなく!

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