メルセデス・ベンツ、最高峰サルーン『Sクラス』を刷新。前面投影ARナビなど採用

 歴代モデルともに、登場した時点で世界のサルーンの潮流を決定づける最高峰モデル『メルセデス・ベンツ Sクラス』が8年ぶりのフルモデルチェンジを受けて上陸。「現代のラグジュアリーを再定義した」という7代目は、世界初の後席左右リヤエアバッグや、フロントウインドウに投影するAR(拡張現実)ナビ、生体認証によるシートポジション記憶など新規軸を満載し、1月28日より発売開始となっている。

 いつの時代もその時点で持てるすべての技術を搭載し、世界の自動車の指標とされてきたメルセデスのフラッグシップモデルは、従来よりラインやエッジを大幅に削減し、曲線を描く面により陰影を生み出す、シンプルかつクリーンなエクステリアを採用した。

 サイド面では、メルセデス・ベンツで初めてとなる格納型のドアハンドルを採用。キーを持って近づくだけで自動的にせり出すドアハンドルも、このクリーンなデザインを際立たせる機能的な役割を担い、前面投影面積がわずかに拡大したにも関わらず、Cd値は最小で0.22(欧州仕様参考値)と世界最高水準のエアロダイナミクスを実現した。

 一方のインテリアは、センターコンソール上部に位置する12.8インチの有機ELメディアディスプレイが目を引き、コンソールのブラックパネルからシームレスに繋がる縦型のディスプレイを搭載。このディスプレイに多くの機能を集約することで、物理スイッチ類を減らしてシンプルでクリーンな印象を強調する仕立てとされた。

 触覚フィードバックを採用する最新世代のステアリングホイールに加え、AR(拡張現実)を有機ELメディアディスプレイだけでなく、フロントウインドウにも投影する世界初の機能も全モデルにオプションで設定。

 従来、目的地を設定して行先案内をする場合、地図上に進むべき道路がハイライトされる機能を、車両の前面に広がる現実の景色に反映して映し出し、進むべき道路に矢印で表示される。

 重ねてフロントウインドウのヘッドアップディスプレイ上にも、進むべき道路が約10m先の景色に重ねて矢印で表示されることで、現実の車両進行方向と連動した案内表示により、直感的な進路選択が可能となっている。

 また、速度計などの表示が立体的に見える3Dコックピットディスプレイ採用に加えて、室内を彩るアンビエントライトも大幅に改良され、先代と比べてLED光源の数は標準ボディで40個から247個へ、ロングボディで263個となり、1平方メートル当たり最大200カンデラと、先代の10倍の明るさを誇っている。

 もちろん、周囲の明るさに応じて日中モードと夜間モードが自動で切り替わるとともに、手動でも20段階で調整することが可能。64色のカラーを選択でき、流れるような光の効果や、光の帯内部での緩やかな変化を生み出すほか、単色から連続変化、また乗車時には乗員を迎え入れる演出効果も設定された。

 そして助手席の機能に影響を与えない後席左右のSRSリヤエアバッグが世界初搭載され、事故を検知した際には前席シートバックの裏側に格納された専用エアバッグが展開。エアバッグの外縁部をチューブ状とし、ガスによって強く膨張する一方、その内側となる中央部は周囲の空気を取り込んで柔らかく膨張。これにより乗員の体格やチャイルドシートの有無などさまざまな状況に柔軟に対応して効果を発揮する。

前面投影面積がわずかに拡大したにも関わらず、Cd値は最小で0.22(欧州仕様参考値)と世界最高水準のエアロダイナミクスを実現した
センターコンソール上部に位置する12.8インチの有機ELメディアディスプレイが目を引き、コンソールのブラックパネルからシームレスに繋がる縦型のディスプレイを搭載する

■発売を記念した日本限定の特別仕様車も用意

 また、運転席ではドライバーの顔、指紋、声の3種類いずれかの生態認証、もしくはPINコードによる計4種類の認証が可能なシートポジション記憶が用意され、ステアリング、サイドミラーのポジションやコックピットディスプレイの表示スタイル、ペアリングした携帯情報端末、ナビゲーションのお気に入り設定などを統合して読み込むことが可能に。さらに助手席や後席左右も同様の設定が可能となっている。

 こうした新規軸を満載する9代目『メルセデス・ベンツ Sクラス』では、全モデルで4輪駆動システムの“4MATIC”と“9G-TRONICオートマチック・トランスミッション”を採用。同時に、メルセデスの美徳である小回り性能を犠牲にしないため、後輪操舵システムのリヤ・アクスルステアリングを採用した。

 リヤ側は約60km/h以下で逆位相に最大4.5度、それ以上では同位相に最大3度の操舵を行うことで、回転半径の抑制と同時に中高速域での安定性や4輪駆動によるメリットを両立させている。

 パワートレインには最高出力330PS、最大トルク700Nmを発生する3リッター直列6気筒ディーゼル“OM656”を搭載した『S400d 4MATIC』と『S400d 4MATIC ロング』、コンパクトな3リッター直列6気筒ガソリン“M256”に、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と48V電気システムなどを組み合わせ、トランスミッションとの協調制御でシームレスな走行体験を得られる最新ユニットを『S500 4MATIC』と『S500 4MATIC ロング』に搭載。

 また、新型モデル発売を記念した日本限定540台の特別仕様車『S500 4MATIC ロング・ファースト・エディション』も用意され、エクステリアは標準とAMGライン仕様、カラーはそれぞれダイヤモンドホワイトとオブシディアンブラックの2色から選択可能に。

 両仕様ともにベースグレードより1インチずつ大型化した専用のアルミホイールを装備し、ダッシュボードや前席のセンターコンソール、ドアトリムなどにナッパレザーを用い、ルーフライナーはDINAMICA仕様に。さらに前席背面や後席中央のアームレストの一部にもウッドトリムを装備し、リヤコンフォートパッケージを標準装備するなど、快適性と質感を向上させている。

 テレマティクスサービスの“Mercedes me connect”や、手のジェスチャーでさまざまな操作が可能なMBUXインテリア・アシスタント機能も備える進化したMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)、さらにセンサーやカメラ類のハードウェアを強化し、従来に加えて新たな機能が追加されたインテリジェントドライブの搭載など、全方位に進化を果たした『メルセデス・ベンツ Sクラス』。その価格はカタログモデルが1293万〜1724万円(税込)。特別仕様車『S500 4MATIC ロング・ファースト・エディション』が1938万~2040万円(税込)となっている。

AR(拡張現実)を有機ELメディアディスプレイだけでなくフロントウインドウにも投影する世界初の機能を全モデルにオプション設定
後席左右のSRSリヤエアバッグが世界初搭載され、事故を検知した際には前席シートバックの裏側に格納された専用エアバッグが展開する

メルセデスコール:0120-190-610
メルセデス・ベンツ日本ウェブサイト:http://www.mercedes-benz.co.jp

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