今年のセンバツは補欠校も気が抜けない! コロナ禍で高まる「繰り上げ出場」の可能性

センバツは無事に開催できるのか…

第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕・甲子園)の出場32校を決める選考委員会が29日にオンラインで開催され、選抜大会を4度制している中京大中京(愛知)や、2度の春夏連覇を誇る大阪桐蔭(大阪)などが選ばれた。組み合わせ抽選会は2月23日に行われる。今大会は新型コロナウイルス感染対策を万全にした上で有観客での開催を目指しているが、もしもの場合に備えて選外となった球児たちも気が抜けない事態となっている。

昨年の春、夏と開催中止に追いやられただけに日本高野連・主催者側は何としても開催にこぎつけたい思いだ。29日に32校を選出し、2月23日に組み合わせ抽選会、3月6日に対外試合が解禁され、19日から開幕…。有観客開催を基本とし、入場制限による入場料の大幅値上げが発表されるなど、第93回選抜高校野球大会は粛々と準備が進められている。

主催者側とすれば昨夏に選抜中止による救済措置として開催された交流試合をたたき台にしたい考えだ。出場予定だった32校を招待して1試合だけ無観客で行われ、さまざまな感染防止対策が設けられた。検温、消毒はもちろん、宿舎での滞在期間を最小限にし、部屋割りや食事、浴場など密を避けた。

グラウンドでも校歌の大声斉唱を控え、試合後の土集めもNG。ベンチ前の混雑を避けるため試合間のインターバルを延ばし、次戦チームとの「完全入れ替え」もした。そのため通常の甲子園の風景とは大きく異なったが、6日間を何とか乗り切り「あれで選抜もいける、となった。今回も基本的にはあれがガイドラインになるはず」と話している。

だからといって今回も安全を担保できるものではない。いや、事態は昨年よりさらに深刻と言える。関西の3府県に緊急事態宣言が発令中で、2月7日以降も延長される可能性もある。先日は大阪桐蔭でクラスターが発生し、当該のコースが休校になったばかり。3月19日までに出場校が同様の事態にならないとも限らず、開催に至るまでも各校で細心の注意が必要だ。

そのため、ある主催者関係者はこう話す。「今回ばかりは補欠校が大事になってくる。2週間前くらいまでに、もしどこかでクラスターが起きたら補欠校に代わる可能性はある。もちろんあってはならないことだけど、例年より現実性はある。補欠校は真剣に準備しておくことですよ」

戦後、選抜大会で補欠校が出場したのは11例あるが、2006年に駒大苫小牧が不祥事で辞退して北海道栄が出場したのを最後に補欠校の出番はない。近年は何か問題が起きても連帯責任より個人の出場停止処分といった傾向にあり、なおさら補欠校の出場の現実性は低くなっている。だが、今回の補欠校は今までと違って「あきらめるのはまだ早い」状況にあるのは確か。不測の事態に備えてしっかり練習していく必要があるだろう。

「まだ探り探りの状態。開幕1週間前くらいに何かあったら補欠校でも対応できなくなる。感染者の状況、政府の動向、すべて様子見ですよ」とは前出関係者の弁。開幕まで約3週間となり、練習試合解禁となれば移動も伴う。油断はいっさい禁物だ。

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