カネミ油症健康調査 厚労省が見解 次世代被害の救済探る

非公開で行われた第16回3者協議について、オンライン記者会見で報告する「カネミ油症被害者全国連絡会」世話人の鈴木文史朗世話人(下)

 長崎県などに多いカネミ油症被害者の子どもら「次世代被害者」の救済について、厚生労働省は30日、「できるだけ早い解決につながるよう全国油症治療研究班と協力したい」との考えを示した。救済策のない次世代に特化して同研究班(事務局・九州大)が健康調査を今後始めることを受けた見解。厚労省が調査を実態把握にとどめず、何らかの救済策につなぎたいという姿勢を示した形だ。
 全国14の被害者団体でつくる「カネミ油症被害者全国連絡会」によると、被害者と国、原因企業カネミ倉庫(北九州市)が話し合う同日の第16回3者協議(非公開)で明らかにした。
 国の研究費を受ける同研究班は、今月の油症対策委員会会議(書面開催)で、被害者側に「次世代被害者の認定につながる医学的根拠の集積」を目指す調査を行うことを表明した。手法は、時間の経過でどんな健康障害が生じるかを調べる「観察研究」を想定。認定患者の子(2世)は認定、未認定にかかわらず対象とする一方、認定患者の孫(3世)や未認定の人の子や孫は対象にしないという。
 3者協議では、被害者側が、被害者も交えた場で調査項目や手法などを協議するよう求めたのに対し、厚労省は「調査を有効にするためには被害者の協力や意見は必要で、前向きに考えたい」と回答。孫に当たる次世代被害者らも対象とするよう求めたが、「研究班に意見を伝える」と述べるにとどめた。また、国が把握する次世代被害者の数は、認定患者を対象とした国の「健康実態調査」の結果に基づき、「推計で300~400人」とした。
 被害者救済法に基づく3者協議は、年2回開催されることになっているが、昨年6月は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。今回は初めてオンラインで開催された。

 


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