入団直後の根尾との比較は「嫌だった」 中日・京田が自らに向ける厳しい言葉

中日・京田陽太【写真:荒川祐史】

課題は打撃「3割近く打っていれば偉そうなことのひとつでも言える」

いよいよ2月1日に“球春到来”を迎える。昨季8年ぶりのAクラス入りを果たした中日にとっては、悲願の優勝に向けた土台づくりのキャンプとなる。若手の台頭が欠かせない中、3年目を迎えた根尾昂内野手は遊撃でのレギュラー獲りを宣言。挑戦状を受けた形となった京田陽太内野手は、自らに対して厳しい言葉を向ける。

昨年12月の契約更改。根尾は「京田さんを目指して、超えていきたい」と言った。2年目の昨季は外野にも挑戦。台頭のきっかけをつかもうと模索し、プロ初安打は放ったものの1軍では9試合出場にとどまった。そろそろ兆しを見せたい3年目。入団時からこだわっていた遊撃で勝負をかける。

その発言を京田はどう受け止めたのか――。プロ1年目の2017年から遊撃のレギュラーを担ってきた選手会長は「僕がなにか言うと角が立ちそうで嫌だな~」と後輩への気配りを見せながら、自らが置かれた立場を客観視して言う。

「絶対に敵わないと思う相手なら名前は出さないと思うんです。後輩から名前を出されるってことは、まだまだ僕がそのレベルになれていないってことです。この4年間で絶対的な地位を築かないとダメだった」

新人王を獲得したルーキーイヤーから離脱はなく、昨季も全120試合に出場。守備は自信を増している一方で、打率は2割5分に届かず。1年目の打率.264がキャリアハイという現状に、当然不甲斐なさを感じる。「3割近く打っていれば偉そうなことのひとつでも言えますが、去年も中途半端な成績で終わりましたし」。自他共に認める課題と今季も向き合う。

根尾が入団してきた2019年。まだプロで1打席も立っていない甲子園のスターと何かとメディアから比較され「正直、嫌な感じはありました」と本音ものぞく。京田にとっては、ライバルというより6歳下の可愛い後輩のひとり。「いいやつですし、無邪気な感じがあるのも好きです」と言う。

挑戦状を受けるのではなく、自分自身と向き合ってさらなる高みへ。「みなさんから『中日のショートは京田しかいないよね』と言ってもらえる存在にならないと。バッティングはもちろん、守備の精度ももっと上げていきたい」。加速度を増した進化を示すことができれば、金の卵の後輩にとっても強烈な刺激になる。(小西亮 / Ryo Konishi)

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