怪文書に告発沙汰…〝カオス〟な区長選は小池都知事「無双」発揮で愛弟子が当選

事務所前で万歳した樋口氏 小池都知事はオンラインで参加

東京・千代田区長選が31日投開票され、都民ファーストの会推薦で元都議の樋口高顕氏(38)が当選した。日本のど真ん中で繰り広げられたのは、有権者が理解に苦しむカオスな選挙戦だった。

任期満了をもって、退任する石川雅己区長の後任は自民党、公明党推薦で元区議の早尾恭一氏で順当に収まると思われたが、告示直前に小池百合子都知事が寵愛する樋口氏が名乗りを上げたのが混乱の始まりだった。

千代田区は〝都議会のドン〟といわれる自民党の内田茂元都議の地盤で、これまで小池氏と血で血を洗う対立を繰り広げてきた。ところが、その内田氏は過去にいざこざがあった早尾氏を支援せず、7月の都議選での候補者調整で、小池氏と手を組んだと報道され、自民党内は疑心暗鬼に包まれた。

さらに早尾氏は選挙中、自民、公明党の国会議員による銀座クラブ報道だけでない逆風にさらされた。自身への怪文書が頒布されたとして、警察に告発状を提出。加えて「樋口陣営が街宣車で、(自身を)有罪判決を受けた議員と連呼した。訂正、謝罪せよ」と樋口氏に抗議文を突き付ける一幕もあった。

弱り目の早尾陣営をよそにガ然勢いに乗った樋口陣営には小池氏が連日、公務の合間を縫って、応援入りし、周囲を驚かせた。樋口氏は「小池さんのギアが入った時の政治家としての集中力、勘所、勝負所、抑え所は改めて敬服致しました」と感謝するばかりだった。

「もともとマンションの優先販売問題で疑惑の人となった石川区長を前回の選挙まで応援したのは小池氏でしたが、その責任問題はどこかへいってしまい、緊急事態宣言下にもかかわらず、なりふり構わず応援に繰り出した。怪文書や告発沙汰にまで発展し、狂気を感じた人も多かったハズ」(永田町関係者)

樋口氏は内田氏との密約説を否定したが、都議選の同区に都民ファが候補を擁立しなければ、出馬がウワサされる内田氏の娘婿・直之区議の当選が近づく。結果的に内田氏も小池氏もウインウインの結果となった区長選だが、自民党側は釈然としておらず、またも禍根を残した恰好だ。

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