【根岸S】レッドルゼルが砂で初タイトルを奪取 安田隆調教師「ロードカナロア産駒で勝たないと、と思っていたので最高です」

鞍上の川田はレッドルゼルの背で次の〝大一番〟を意識しながらレースを組み立てた

東京競馬場で行われたGⅢ根岸S(ダート1400メートル)は、1番人気のレッドルゼル(牡5・安田隆)が直線で鋭く末脚を伸ばして勝利。重賞初制覇を達成するとともに、父ロードカナロア産駒としてダート重賞初Vになった。果たして〝本番〟のGⅠフェブラリーS(2月21日=東京ダート1600メートル)での勝算はいかに? 多角的に検証する。

今回の重賞制覇が自身7勝目になったレッドルゼル。距離別では1400メートル=4勝、1300メートル=1勝、1200メートル=2勝だが、ダートで連対を外した2戦(端午S=7着、GⅢプロキオンS=8着)も1400メートルである。

レース後の川田が「(フェブラリーSの)1600メートルを意識して、1400メートルの中でも次につながる競馬を心がけました。千四、千二では素晴らしい内容。そこを千六につなげたいと思っています」と話したように、自身初になるマイルの次走を最大に意識しながらの競馬だった。

もっとも、レースは中団で我慢が利き、直線は1頭分のスペースをズバッと突いての差し切り。

「手応えが抜群に良かったですし、いい動きで伸びてくれました。外の馬(2着ワンダーリーデル)とはわずかの差だったけど、負けた感触はなかったです」と同騎手。鞍上の言葉通り、着差(アタマ差)以上の完勝だった。根岸Sの勝ち馬は、直近5年だけでも続くフェブラリーSを3頭が勝利。高確度の前哨戦を制した意味は大きい。

「調教だとすごくかかるが、競馬に行けば折り合いがついて、今日もうまく流れに乗っていた。(馬群の)真ん中で1頭分のスペースをきちっと抜け出してきたところがこの馬の実力」と安田隆調教師。

同師が管理した父ロードカナロアは初年度産駒からアーモンドアイを出すなどこれまでに芝でJRA重賞35勝(他に海外GⅠ2勝)の実績を誇るが、ダートは今回が初。「何とか安田厩舎で勝たないと、と思っていたので最高ですね。オーナーの意向で最初は芝(1400メートルの新馬戦で3着)を使いましたが、当時からフットワークはダートに適性がありそうでしたから」とホッとした表情。知り尽くしたロードカナロアの子供。早くからダート適性を見抜き、重賞を勝つことで管理調教師としての責任を果たした。

一方でフェブラリーSは未知の距離が舞台になる。「ワンダー(リーデル)にあそこまで急追されましたから。不安もあるけど、楽しみのほうが大きい。1600メートルなら、もう少しゆったり流れると思うので」と同師。8歳の2着馬は子息の安田翔調教師の管理馬であり、その力量も把握している。距離を含めてGⅠでの課題と力関係もかなり見えてきた様子だ。

まだ伸び盛りの明け5歳。昨年のチャンピオンズCの覇者でJRA賞最優秀ダート馬のチュウワウィザードがサウジ遠征を決めた今年はメンバーのレベルも不透明だが、レッドルゼルが主役を張れるだけの力量を存分に示したのは間違いない。

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