レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢、初戦の全レースで入賞し5台抜きも披露【F3アジア第1戦ドバイ】

 現地時間1月29日(金)〜30日(土)、2021年F3アジアチャンピオンシップの開幕戦がドバイ・オートドロームで開催。F3デビュー戦となった岩佐歩夢(ハイテックGP)はレース1が6位、レース2が5位、レース3は5位だった。

 例年アジアのサーキットを転戦するF3アジア。開催時季が欧米のオフシーズンと重なるため、若手が実戦感覚を養う場として、またF1に必要なスーパーライセンスポイントを稼ぎたいドライバーが参戦することから岩佐にとっても習熟の場となる。レース結果に応じ1位から10位までに、それぞれ25、18、15、12、10、8、6、4、2、1ポイントが付与される。

 23台がエントリーした今年は移動を最小限に留めたスケジュールが組まれ、全5戦15レースをUAEアラブ首長国連邦のなかで行い、2月24日に閉幕する短期決戦だ。

 予選は2度行われ、予選1回目がレース1の、2回目がレース3のポールポジションを決めるシステムだ。なおレース2のグリッドはレース1でファステストラップを記録したドライバーがポールを獲得し、以降はベストタイム順となる。決勝レースは3レースとも30分の時間制だ。

 金曜日の午前中に行われた予選1回目、レース1のポールポジションを獲得したのはルノー育成の周冠宇(アブダビ・レーシング・バイ・プレマ)。その後行われた予選2回目で最速タイムを刻んだのはピエール・ルイ・ショベール(ピナクル・モータースポーツ)だ。岩佐の1回目はトップと0.705秒差、2回目は同0.613秒差でそれぞれ10番手タイムをマークした。

 レース1は金曜午後、天候は晴れ、ドライ路面。日本時間20時35分にフォーメーションラップを開始しレースはスタート。周冠宇がホールショットを決め後続との距離を徐々に広げ、7周目には2番手と2.997秒差をつける。

 その後方では10番手スタートの岩佐が速さを見せ7番手まで順位を上げて見せ、翌周にはさらに1台を攻略する。岩佐はワンパックで走行していた2〜5位集団を射程圏に入れたところでフィニッシュ。

 岩佐は初陣で4台抜きを披露し6位、またベストタイムは全体6番手だったためレース2の6番グリッドを獲得した。優勝は首位を一度も譲らなかった周冠宇で、2位のロイ・ニッサニー(ハイテックGP)に8秒近い差をつけていた。

F3アジア第1戦ドバイ:決勝レース1スタートシーン
岩佐歩夢(ハイテックGP)は10番手スタートから6位入賞を果たす

レース2&レース3でも力強い走りを披露

 レース2は土曜日の午前中に開催。コンディションは晴天でドライ。フォーメーションラップ中のトラブルで定刻よりも少々遅れてのスタートとなった。ポールは周冠宇。岩佐は6番手スタートも1周目でニッサニーに交わされポジションをひとつドロップしてしまう。

 しかし岩佐は2周目のホームストレートでスリップストリームを使って抜き返し、順位を元に戻した。その直後に後方で接触が発生。コース上にマシンがストップしてしまいセーフティカー(SC)が5周に渡って走行し、8周目からレースは再開する。

 6番手の岩佐は前をいくライバルの後方につけるも攻略には時間を要し、14周目にようやくライバルをパス。順位はこのまま変わらず周冠宇が2連勝。岩佐は5位フィニッシュとなった。

混走を駆け抜ける岩佐歩夢(ハイテックGP)。レース中には今季初のセーフティカーを経験

ふたたび追い抜きを見せたレース3

 レース3は土曜日の午後に行われ、コンディションはレース2と同じく晴天で路面はドライ。ポールはショベールで岩佐は10番手スタートだ。

 オープニングラップでスタート直後に4番手争いをしていた4台、また後方でも接触があり数台がコースオフ。1周目終了時点でニッサニーが首位に浮上、岩佐は無事にアクシデントを回避し6番手まで順位を上げる。

 残り15分、レースが後半戦に突入したあたりで上位5台が団子状態となりショベールが首位を奪還。また岩佐も5番手へ浮上。順位はこのまま変わらずチェッカーを受け、ショベールが初優勝、岩佐は最終的に5台を抜いて5位フィニッシュとなった。

 F3デビューレースとなった岩佐は3レース合計で11台を抜いており昨年のフランスF4でも見せたレース巧者の片鱗をのぞかせた。岩佐は選手権争いで28ポイントの6番手につけ、首位は50ポイントの周冠宇となった。

 第2戦は2月4日〜5日にアブダビのヤス・マリーナで開催される。

岩佐歩夢(ハイテックGP)

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