楽天ドラ1早川、初日ブルペン入り回避「自分のペースを作った選手が1軍で活躍」

楽天のドラフト1位・早川隆久【写真:宮脇広久】

「投手は1人でマウンドに立たなければならないポジションなので」

最速155キロを誇る楽天のドラフト1位ルーキー左腕、早川隆久投手(早大)は1日、沖縄県金武町で1軍キャンプ初日を迎えたが、ブルペン入りはお預けとなった。涌井、岸、則本昂、松井ら実績のある先輩たちが初日から意欲的に力を入れて投げ込む中、鳴り物入りで入団した新人はブルペンに姿を見せなかった。

1軍キャンプに抜擢された4人の新人のうち、ドラフト2位の高田(法大)と4位の内間(亜大)は捕手を座らせて投げ込み、早川と3位の藤井(ENEOS)はブルペンに入らなかった。

早川が楽天のユニホームに袖を通し初めて行うピッチングに注目していた報道陣をはじめ、周囲は肩透かしをくらった格好だったが、本人はどこ吹く風。「気候の違う沖縄に来て2日目、キャンプ初日でもあり、どういう形で進んでいくのか流れを知った上で 明日か明後日あたりにブルペンに入りたい」と説明した。

「自分のペースを崩さずにやっていこうと思っているので、周りに流されないように、自分の意思や計画を持ってやっていければと思います」と語り、「特に焦りはありません」と言い切った。

石井監督も納得「動きを見ていたが、問題なくやっていた」

プロで初めてのキャンプでも、舞い上がったり張り切り過ぎるようなところは見えない。普段から「全体が一緒に動いている時に、自分が違うことを行うことが多々ある。そこは持ち味でもあり、短所でもあると思っています」と明かした。前日の1月31日の自主練習でも、並みいる先輩がキャッチボールをしている間、1人で体幹トレーニングをしていたという。

そのやり方で、昨年の東京六大学秋季リーグで早大の主将兼エースとして6勝0敗、最優秀防御率(0.39)のタイトルを獲得する活躍でチームを10季ぶりの優勝に導いた自負もある。「結果を追い求めていかなければならないと思っています。自分の体と相談しながら徐々に上げていければ」と語った。

「基本的に投手は、マウンドに1人で立たなければならないポジションなので、常に自分で考えながら動くことが大事だと思っています」とも。初めてプロのキャンプを目の当たりにした感想も、「大学までは全員一緒に練習を終えていましたが、プロは自分のペースというか、終わった選手から各自帰る。自分のペースを作った選手が1軍で活躍できるのだと思いました」というもの。自分のこれまでのやり方に確信を得たようだ。

石井一久GM兼監督は「動きを見ていたが、問題なくやっていた。今日(ブルペンに)入る入らないは気にしていません」とうなずいた。一方で「基本的にまず本人の考えを尊重するが、僕も何年もプロでやってきて感じるものがある。たとえば、シーズンを中6日でしっかり100球以上投げていく時に、疲労をためないために、キャンプでどういう準備をしていけばいいのか、本人の意見だけを尊重するのではなく、今後こういうことが起こるよ、体に変化が起きうるよと、しっかり提示したい。そこへ向けての解決策をキャンプでいろいろ学んでほしいと思います」と語った。

早川は、キャンプ2日目もしくは3日目に「捕手を座らせて30~40球投げたい」と自分なりのプランを描いている。ちょっと待たされた分、その勇姿を見るのがますます楽しみになった。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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