コロナ禍で伝統校・進学校志向か 神奈川でも私立中入試スタート

フェリス女学院中学の試験会場に向かう受験生たち=横浜市中区

 私立中学校の入試が1日、県内でも始まった。2021年度に公募する神奈川県内私立中59校のうち、52校がこの日に集中。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が再発令される中、大学・高校に先駆けて受験シーズンが本格化した。

 複数の女子校がある横浜・山手地区では1日朝、マスク姿の受験生が保護者に付き添われ志望校の試験会場に向かった。一方、恒例の塾関係者による激励は、密回避のため見送られた。

 大手進学塾・日能研によると、県内の私立や国公立の20年度中学受験者数は延べ約5万人で、21年度も同程度が見込まれる。私立はコロナ感染対策の充実ぶりが評価されるなど、今年も人気を集めているという。

 21年度の私立中学受験について、日能研の中学受験専門誌「進学レーダー」の井上修編集長は「新型コロナウイルスの感染拡大により、入試状況に変化が生じている」と指摘する。

 「昨春の休校時に情報通信技術(ICT)を活用した対応を取ったことで私学の信頼が高まった。休校によりリアルな体験や直接対話の重要性が再認識され、中高6年間で豊かな体験的な学びやクラブ活動などが充実した私学への評価が高まっている」という。

 また、「対面型の学校説明会が控えられ、評価の安定している伝統校などを志向する傾向がある」と分析。大学の休校時の対応も影響し、井上編集長は「大学自体の価値が変容し、今後序列が激変するとみられる。そのため付属色の強い大学系私学を敬遠する傾向が出て、進学校の人気が高まりそうだ」と展望する。

 コロナ禍は試験内容などにも影響しており、各校とも消毒や換気を徹底するほか、面接を見送るケースなどがある。フェリス女学院中学の志願者は435人で前年度比30人増。感染予防のため、例年は午後に実施している面接を取りやめて対応した。

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