「とんだ板挟み」嘆く菅首相 銀座クラブ問題、政府関係者も不満

菅義偉首相(資料写真)

 神奈川県内与党2議員による銀座クラブ問題の波紋は、菅義偉首相(衆院神奈川2区)の官邸も揺るがしている。政府関係者からは「支えるべき総理の地元が足を引っ張るとは」との不満も聞かれる。

 「とんだ板挟みだ」-。周辺によると、首相は一連の問題を巡る報告の際に、そうつぶやいた。普段こうした事態で漏らす「ひでえよな」との口癖に代わる嘆きだ。自民党の松本純氏が地盤とする1区、公明党の遠山清彦氏が次期衆院選で出馬予定だった6区の間に自身の選挙区があることを意識したようだ。

 1日は松本氏と同席していたことの報告と謝罪に訪れた田野瀬太道文科副大臣を「なぜ正直に名乗り出なかったのか」と詰問。「深夜のクラブ訪問も、その後の対応もあるまじき行為だ」と叱責(しっせき)したという。

 最近は朝の散歩も取りやめ登邸後は執務室にこもる。周辺は「宣言延長をどうするという大事な時期。気晴らしどころではなく、この問題に相当な危機感を抱いている」と説明した。

 同日の定例会見で問題への見解を問われた加藤勝信官房長官は「進退など身の処し方は議員個々人が考えること」と一般論で回答。しかし「国民に自粛をお願いしているのだから自制すべきはすべきだ」とわざわざ付言し松本、遠山両氏を突き放した。政府関係者は「国会審議を円滑に進めて解散のタイミングの選択肢を広げたいのに、肝心の総理のお膝元から大逆風では話にならない」と嘆いた。

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