『劇場版 殺意の道程』井浦新とバカリズムの凸凹会話に大笑い!

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 「住住」「架空OL日記」など脚本家としても多くの作品を作り続けてきたお笑い芸人のバカリズムが脚本を手掛けて、映画『朝が来る』などで演技派として日本映画界を牽引している俳優の井浦新と共に主演を務めたWOWOWのオリジナルドラマ「殺意の道程」(全7話)の再編集劇場版です。え〜?ドラマの再編集? なんて侮るなかれ、これがめちゃくちゃ面白いんです! 

 始まりは、どこかで観たようなシーンから。井浦新が演じる一馬の父親である小さな会社の社長が取引先の社長・室岡の裏切りが原因で自殺してしまいます。お通夜の席で、仲良しのイトコ・満とともに室岡への復讐を決意する……まではよかったのですが、『殺人の道程』というタイトルだけに計画してから殺人を実行に移すまでがとにかく長い! 笑っちゃうほど長いんです。ポンコツなイトコ同士の2人が、あーでもないこーでもないと殺人の計画を練り、なぜか殺人に詳しすぎるキャバ嬢と協力して、なんだか恋の予感も急にしてきたりと、殺人までの小ネタがとにかく多い(笑)。さすがバカリズムの脚本! と言うような会話は、バイオレンスこそ全くないものの、タランティーノの映画に出てくるようなバカバカしさでおかしくて仕方がない。

 井浦とバカリズムの2人も本当に素晴らしく、何よりバカリズムとの間合いに完璧マッチしている井浦がすごすぎる! 実際は、本当にかっこいい俳優さんなのに、この映画では思わず吹き出しちゃうほど情けない男を好演。もちろんサスペンスとしての要素もバッチリで、後半に向けたミステリー小説顔負けの展開もさすがの一言。これからのバカリズム作品にかなり心踊った作品でした。★★★★☆(森田真帆)

2月5日から劇場公開&配信

監督:住田崇

出演:バカリズム、井浦新

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