原爆被災資料79点 HP公開 長崎大 目録と証言集 無償配布

付属図書館医学分館に移管された永井隆博士の「原子爆弾救護報告」(中央下)や泰山弘道氏の「長崎原爆の記録」原稿(上)など原爆被災資料=長崎市、同館

 長崎大原爆後障害医療研究所は1月、長崎市坂本1丁目の坂本キャンパスにある同研究所で保管していた原爆投下後の学術調査資料や遺品など79点の目録を作成しホームページ(HP)で公開を始めた。本年度の被爆75年事業の一環で資料の保存活用強化が狙い。現物はキャンパス内の同大付属図書館医学分館での保管に切り替えた。
 長崎大医学部の前身、長崎医科大や付属医院は原爆で壊滅的な被害を受け、多くの死傷者が出た。今回、事業に携わった三根眞理子客員教授は「生き残った医師らが救護や調査で果たした役割を学生に伝えたい。現物は図書館に置くことで永久保存につながる」と語った。
 「原爆被災資料目録」としてまとめた79点の内容は、永井隆博士の「原子爆弾救護報告」や調来助教授の「原爆被災復興日誌」の原本、当時の大村海軍病院長、泰山弘道氏による「長崎原爆の記録」の原稿など。マッカーサー元帥宛ての長崎医科大再建を願う嘆願書や、フランスの核実験に抗議し1996年に現地紙に出稿した意見広告もある。
 資料の一部は被爆70年など節目の事業で公開したことがある。今回は初公開資料を含めHPで画像をダウンロードできるようにした。HPアドレスは、https://www.genken.nagasaki-u.ac.jp/abcenter/materials-data/archives.html
 被爆75年事業では他に、1955年に出版、75年に再発行した長崎医科大関係者の被爆証言・記録集「追憶」を45年ぶりに再発行した。原爆被災資料目録と追憶はいずれも希望者に無償で配布する。問い合わせは長崎大生命医科学域・研究所事務部総務課(電095.819.7004)。

「原爆被災資料目録」と「追憶」を手にする三根眞理子客員教授=長崎市、長崎大原爆後障害医療研究所

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