時津風親方の処分どうなる?退職届の扱いが新たな“火種”になる可能性

時津風親方

落としどころはどこに…。大相撲の時津風親方(47=元幕内時津海)が1月の初場所中に麻雀店に通うなどの規則違反をした問題で、愛弟子の大関正代(29)が口を開いた。師匠の行動に「とても残念」と心境を明かした上で「(処分が)どんな結果であろうと頑張っていけたら」と気丈に振る舞った。すでに時津風親方は日本相撲協会を退職する意思を固める中、注目が集まるのは協会による処分の行方。その内容次第では、新たな“火種”となる可能性もある。

時津風親方は初場所開催中に、日本相撲協会が定める新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反。不要不急の外出が禁止されているにもかかわらず、複数回にわたって都内の麻雀店に通うなどの不適切な行為があった。昨年秋にも外出禁止期間中にゴルフコンペに参加していたことが発覚し「委員」から「年寄」へ2階級降格処分を受けたばかり。今回は厳罰が避けられない状況だ。

部屋頭の正代によると、時津風親方は騒動発覚後に弟子たちを集め、事情を説明。部屋が稽古を再開した1日も、師匠は稽古場に姿を見せていたという。「大部屋でみんな集まって。謝罪込みの詳しい説明というか。今はまだ処分が出てないので、それが出るのを待っている状況という感じでした」(正代)。師匠の処分を待つ弟子たちの心中は察するに余りある。

それでも、正代は「とても残念に思いますけど…。どんな結果であろうと協会の決定に従って、頑張っていけたら。どういう処分でも、僕たちがやることは変わらない」と気丈に前を向いた。その一方で、すでに時津風親方は相撲協会に退職届を提出。同じ東農大出身で現在は部屋付きの間垣親方(35=元前頭土佐豊)が新たな師匠として部屋を継承する方向だ。

ただ、芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)が「届けを出しても簡単に受理はできない」と話す通り、すんなりと自主的な退職が認められるかどうかは不透明。相撲協会の対応次第では、新たな“火種”となる可能性もあるのだ。

角界には不祥事を起こした力士(親方)が協会から厳罰を受ける前に、自ら引退(退職)して幕引きを図ることを「是」とする風潮がある。近年では横綱日馬富士が暴行事件を起こし、協会から正式な処分を受ける前に自ら引退。相撲協会も引退届を突き返すことなく受け入れたが、ファンからは事件の真相や責任の所在が「ウヤムヤになる」との批判が噴出した。“潔い引き際”と言えば聞こえはいいが、自発的な引退と解雇では退職金支給の有無にもかかわってくる。

実際、時津風親方の退職の意向を受けて角界関係者の間では「カネ(退職金)が目当てで自分から辞めるのでは」との見方もある。それだけに自主的な退職を容認すれば、世間の理解が得られない可能性が高い。時津風親方の処遇は今月に開かれる理事会で正式に決まる見通しだが、その判断に注目が集まる。

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