小堺一機主演、山本一力原作の「ずんずん!」今春放送

テレビ朝日系では今春、小堺一機主演による明治ドラマスペシャル「ずんずん!」(日時未定)を放送することが分かった。直木賞作家・山本一力氏による同名小説を初映像化するもので、牛乳配達員が起こしたささやかな“奇跡”を感動的に描き出す。

主人公は、60歳を超えた牛乳配達員・田代龍平。ある朝、担当エリア宅配中の田代は“小さな異変”に気付く。その家には、田代と同年代の女性・湯川かおるが1人で暮らしており、かおるは奇麗に洗った空き瓶を玄関の保冷ボックスに戻しておいてくれるのだが、その日はそれが置かれていなかった。「もしかして倒れているのでは…」。彼女の身を案じた田代は店長や同僚たち、さらには町内会をも巻き込んで、“ずんずん!”と力強い足取りで救出を試みる。

田代を演じる小堺は、コメディアン、名司会者であるのはもちろんのこと、俳優としても映画、ドラマ、舞台で唯一無二の存在感を発揮。近年では「科捜研の女スペシャル」「家政夫のミタゾノ」「ドクター彦次郎5」(いずれも同系)などの話題作に多数出演し、味わい深い演技を披露してきた。

本作の撮影を前に、小堺は「山本一力先生が描いた素晴らしい作品の世界に入る機会をいただき、うれしく思っています。単に“いい人”ではなく、“正直に生きたらいい人だった”、という人物を演じたいと考えています」と期待の面持ちで語り、「『ずんずん!』は牛乳配達員の物語ですが、僕は若い頃、お菓子問屋の配送助手のアルバイトをしていました。2tトラックに乗り込んでスーパーやデパートに商品を配送しましたが、行く店ごとにいろいろな人や出来事に出会い、人生の勉強になったことを思い出しました。コロナ禍の今、このドラマが“人は人と触れ合っていなきゃダメな生き物なんだ”という人間の根本をあらためて感じる機会になればと思っています」と語り、意欲を燃やしている。

また、本作の脚本はドラマ「砂の器」(フジテレビ系)、「時効警察はじめました」「家政夫のミタゾノ」(いずれも同系)、「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」(テレビ東京系)などの注目作を次々と手掛けている小峯裕之氏が担当。さらに、映画「NANA」(2005年)、「NANA2」(06年)、「4月の君、スピカ。」(19年)などで手腕を発揮してきた大谷健太郎氏がメガホンを取る。

夫婦で老後を楽しもうと思っていた矢先に妻に先立たれ、寂しさを紛らわせるために牛乳配達のアルバイトを始めた、世話好きで実直な田代。牛乳の宅配は、雨の日でも雪の日でも100軒近くの家々を回って牛乳を届ける仕事だったが、田代をはじめとする牛乳配達員たちは、1本の牛乳を介して地域の人々の暮らしや健康に気を配り、商品だけではなく、“思い”や“温もり”を運んでいる。田代が周囲と協力してかおるの窮地を救おうと奮闘する姿からは、現代人が忘れかけていた人の心の温かさ、そしてSNSでは体験できない、人と人とを結ぶ真の絆が感じられる。温もりあふれる物語に期待大だ。

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