プロ入り転機は高校時代のアンダースロー ロッテ最速148キロ右腕・横山の挑戦

ロッテ・横山陸人【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

今季の目標は「まずは1軍で投げること」

ロッテのサイド右腕・横山陸人投手は、2年目の春季キャンプを順調に滑り出した。「順調には来ているかなと思います。ピッチングで多少コントロールにばらつきはあったんですけど、思った通りの強い球を投げられました」。2日目の練習を終え、19歳は軽くうなずく。

ルーキーイヤーの昨季は1軍デビューが遠く、2軍で11試合に登板。マウンドで見つけたのは課題だらけだった。「自分は結構打たれることが多かったので、あらためて1軍で投げている投手は凄いなと思いました」。イースタン・リーグで15イニングを投げ、10失点。高卒で飛び込んだプロの世界で、自分のボールが通用しなかった。

今季の課題は、変化球の精度。「悪いカウントにしたときに、変化球でカウントがとれれば武器になる。しっかりと変化球でも腕を振るっていうところから始めて、ベース盤の上にどんな状況でも投げきれるのを目指してやっています」と目標を定めている。

サイドスローから投げ込む最速148キロの直球を買われ、2019年のドラフト4位で入団。ファウルを取れる球の強さが、プロ人生の生命線にもなる。そんな最大の武器は、専大松戸高時代の“ムチャ振り”によって培われた。

高校1年の冬、持丸修一監督に突然アンダースロー転向を命じられた。特に理由は聞かされず、2年の春まで続けた。「正直、アンダースローにしている時は、上手くいかないことが多くて、だいぶ苦しかったです」。自身は暗中模索だったが、持丸監督には確固たる狙いがあった。

もともと硬かった肘の柔らかさやしなりを出すためのアンダースロー。数か月へて横手投げに戻すと、球速は6キロアップして136キロに。「直してみたら、自分の中で納得する球が投げられるようになったので、良かったなと思っています」。高校3年時には148キロまで伸び、プロ入りの切符を手に入れた。

将来は「重要な場面で任されるような投手に」

同期のドラフト1位は佐々木朗希投手。同い年ということもあり、仲もいい。どうしても比較されてしまうが「横山は横山だと思ってもらえるくらい、いいピッチャーになりたいなと思います」と決意を口にする。中学時代は全国大会の決勝で奥川恭伸投手(ヤクルト)と投げあい、敗れた経験も。「完成度が凄く高いというか、変化球のキレだったり、打たれたりもしたので、走攻守揃った選手だなと思いました」と当時の印象を振り返る。

世代を代表する投手たちから刺激を受けながらも、自らの道を邁進するつもり。目標とする選手は、チームメートの益田直也投手。「昨年(間近で)見てきた中で、凄いポジションをされているなと思う。変化球の精度、キレがとても凄いので、そこを見習ってきたい」と今キャンプでも貪欲に質問の機会をうかがう。

「まずは中継ぎで重要な場面を任されるようになってから、最終回を任されるようになっていきたい」。ロッテの1軍リリーフ陣は、東條、ハーマン、唐川、澤村、益田と層は厚い。まずは1軍キャンプでアピールし、今季こそ1軍デビューを――。その先の将来に、守護神の座を思い描いている。

○横山陸人(よこやま・りくと)2001年8月5日、東京都江戸川区出身。19歳。江戸川区立上一色中時代は軟式野球部で投手として活躍。3年生の夏の全国大会では決勝まで勝ち上がり、奥川恭伸(現・ヤクルト)と投げ合うも敗れ、準優勝。専大松戸高では1年時からベンチ入り。2年秋からエースとして活躍し、3年春には千葉県大会準優勝。2019年のドラフト会議でロッテから4位指名を受け入団。179センチ、76キロ。右投げ右打ち。(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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