テイラー・スウィフト『エヴァーモア』引き返すのではなく音楽の森をさらに探求

 昨年の7月予告もなくリリースされ、全米で8週間首位、第63回グラミー賞で最優秀アルバム賞にノミネートされた『フォークロア』に続く9枚目のオリジナルアルバムです。前作からわずか5か月でサプライズ・リリースされました。

 パンデミックによるロックダウンのなかフォーク・グループ“ザ・ナショナル”のアーロン・デスナーのプロデュースでリモート制作された前作ですがライヴを観られないファンのために昨年9月アーロンが持つニューヨーク州北部のロングポンド・スタジオでライヴ・セッションを企画、ディズニープラスで映像配信しました。本作はそのセッションがきっかけで生まれた前作の姉妹作と言えるもの、人類の危機ともいえるパンデミックのなか人として守るべきものを守って現実逃避をする心境を歌います。自らの体験を歌にして来た彼女ですが前作からは心の奥底にある葛藤を創作、それは自然と人生を語ったワーズワースなど英国湖水地方の作家たちに共通するものと彼女は語っています。

(ユニバーサル・2500円+税、デラックス・エディション3300円+税)=北澤孝

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