浦添「選挙感染」防げ!グータッチやSNS「寂しいが仕方ない」 宮古島を教訓に

 【浦添】新型コロナウイルス感染拡大に伴い、県が緊急事態宣言を発令する中、2月7日の投開票の浦添市長選と浦添市議選の各候補は従来の選挙に比べて集会を控えたり、握手せずに拳を突き合わせる「グータッチ」にとどめたりするなど感染防止に腐心している。有権者を訪ね回る「どぶ板選挙」はなりを潜め、街頭でひたすら手を振り続けたり、会員制交流サイト(SNS)で支持を呼び掛けたりする。関係者は新しい選挙様式に注力せざるを得ず、戸惑いも見せた。

 1月17日に投開票された、宮古島市長選と市議会議員補欠選。県は29日、宮古島市内での新型コロナウイルス感染者のうち、7人が市長選に関連すると発表した。

 7人の行動歴に選挙事務所への立ち入りや打ち上げへの参加が含まれていたとし、県は「感染拡大に上乗せされていると考えていい」との見解を示した。

 県南部保健所は同日、浦添市長選・市議選の選挙活動で、新型コロナ感染が疑われる事例が発生しているとして、感染予防対策の徹底を呼び掛けた。市長選では現職の松本哲治さん(53)、新人の伊礼悠記さん(38)の両陣営とも、感染予防対策を徹底させているという。

 県内の選挙ではこれまで、候補者や支持者が有権者の家を一軒一軒回ったり、小規模から「総決起大会」と銘打った大規模までの集会を数多く開催したりして支持の浸透を図ってきた。今回の浦添市の両選挙では、そうした選挙活動はなりを潜め、少人数での街宣活動などが目立つ。

 市議選のある立候補者は「前回までは、事務所開きにも、あふれるくらいの人が来た。今回は数人でひっそりとだった。寂しいが仕方がない」とため息をついた。

 支持者が一斉に集う総決起大会は、選挙戦の結果を占う目安になる。今回の浦添市長選では松本さんの陣営は参加を呼び掛けず、伊礼さんの陣営は延期して街頭で実施するなど、異例の対応だった。

 近年の選挙戦では市民や経済関係の団体などが公開討論会を企画し、討論を多くの有権者が直接見守る。今回の浦添市長選では動画共有サイトでの公開にとどまった。双方の陣営からは「市民に直接思いを伝える機会がなくなり、痛手だ」などの声も上がった。

 松本さんの同級生で、街頭での手ぶりなどで選挙戦を支える照喜名利香さん(53)は「集会はできないが、常に市民に寄り添ってきた松本さんの人柄を知ってほしい」と話した。

 伊礼さんの街宣車の運転などで選挙を手伝う柴田鉄也さん(33)は「感染予防に気を付けながら、『戦争反対』を訴える伊礼さんの思いを浸透させられたら」と述べた。(浦添市長選取材班)

© 株式会社琉球新報社