認知症介護17年、夫を殺害…「苦しみ聞いてくれれば」72歳妻、肩震わせ謝罪 起訴事実認める

 2020年6月、沖縄県南風原町の自宅で夫=当時(76)=の首を絞め、窒息死させたとして、殺人罪で起訴された無職女性(72)の裁判員裁判の初公判が3日、那覇地裁(小野裕信裁判長)であった。被告は起訴内容を認めた。

 検察側の冒頭陳述によると、女性の夫は2003年頃、くも膜下出血で倒れて認知症を発症した。女性は、長年夫の介護に追われた。疲労が重なった女性はうつ状態となり、自殺を考える一方で夫を残すと家族に迷惑が掛かる思うようになった。2020年6月18日、夫を殺害して、自らも自殺を図った。

 弁護人からの被告人質問で、女性は「長年の苦しみをせめて主人が聞いてくれればよかった」と当時の思いを振り返り、夫に対して声を震わせて謝罪した。

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