【県内主要企業・団体トップアンケート】MICEなど長崎駅周辺まちづくり 「期待」8割超 有効活用求める声も

アンケート結果

 長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が実施した県内主要企業・団体トップアンケートで、MICE(コンベンション)施設開業などJR長崎駅周辺再開発に伴うまちづくりへの期待度を聞いた。回答者の8割超が、交流人口拡大など経済効果を望む一方、有効活用を求める意見も目立った。
 長崎駅周辺では11月、MICE施設「出島メッセ長崎」と、併設するホテル「ヒルトン長崎」が開業。アンケートは新たな施設への期待の有無とその理由を尋ね、91人が回答した。
 それによると、「大いに期待」(40人)、「期待する」(34人)合わせて74人(81.3%)が施設開業を前向きに捉えている。「大いに期待」の理由としては「新たな観光市場の開拓」「交流人口、就業人口の流れが大きく変化する」など景気浮揚の起爆剤となることを願う声が多い。「今まで以上の規模、クオリティーの催しが開催されることで文化向上にも期待」という意見もあった。
 ただ、「期待する」とした回答者の中には課題を指摘する声も。製造業の一人は「新型コロナウイルス禍でリモート化が進んでおり、十分な活用の場が生まれるのか」、別の企業の一人も「九州新幹線長崎ルート全線開通まで稼働率が不安」と懸念を示した。長崎市の企業の一人は「できてしまうのであれば積極的に活用するしか道はない」、別の一人も「実施する事業コンテンツの魅力化が必要」と実効性のある運用を求めている。
 一方、「あまり期待しない」は15人、「全く期待しない」は2人。長崎市以外の企業、団体からは「県内の他のエリアとの結び付きがイメージできない」「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)と共存共栄できるのか」という声が上がり、波及効果を測りかねる様子が浮かぶ。あるサービス業の一人は「他と差別化できる何らかの仕掛けがないと競合に勝てない」、別の企業の一人からは「発想が既に古い。通信インフラの問題も未解決」と厳しい意見が寄せられた。

11月開業に向け建設が進むMICE施設「出島メッセ長崎」=長崎市

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