世帯年収900万円以上で急上昇?働く主婦の何割が世帯年収に満足しているか

仕事と家庭を両立させる“働く主婦層”の方は、仕事で得られる対価のリアルと、家庭・生活面での大変さの両方を知っています。現実的かつ柔軟であり、たとえば自分の家庭の世帯年収に対しても冷静に判断する人が多いように思います。

ただし、これはあくまでも表面上のイメージ。実際は働く主婦個々に、自分の家庭の世帯年収に対する思いは異なり、また年代や子どもの数などによっても満足度が微妙に変わってくるようにも思います。

これまで、あまり語られることがなかった、働く主婦層にとっての「世帯年収への満足度」に関して興味深い調査結果が発表されました。調査を行ったのは、主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB』の調査機関・JOB総研。ここでは、その調査結果から働く主婦の方々が、日々「お金」に関してどのような思いを抱いて過ごしているかを推測していきたいと思います。


「満足」が「不満」を上回る

この調査での「働く主婦層」は、会社員・パートなどで働いている既婚女性を指しています。

まず、働く主婦層の方に尋ねたのが「あなたは、ご家庭の現在の世帯年収に満足していますか?」という問い。ここでは「やや満足」が41.2%、「大いに満足」が7.1%と、合計48.3%という半数近い人が「満足」を感じているという結果が出ました。

一方、「やや不満」が25.5%、「大いに不満」が14.840.3%となり、世帯年収に対する満足度は、働く主婦の方の中でも大きく二分されていることがわかります。が、いずれにせよお金は多ければ多いほど良いもの。「満足」「不満」双方が考える「望ましい世帯年収」のコメントを見ていきましょう。

●「大いに満足」「やや満足」と回答した人のが考える「望ましい世帯年収」

「家賃が15%に収まるような年収を望んでいます」(40代・子ども1人・世帯年収900万以上)

「我が家は合わせて(世帯年収が)約1500万円だが、2000万円は欲しい」(50代・子ども1人・世帯年収900万以上)

「子どもにやりたいことは何でもやらせられるくらいの金額」(30代・子ども2人以上・世帯年収900万以上)

●「やや不満」「大いに不満」と回答した人の「望ましい世帯年収」

「我が家の主人の年収は1000万です。でも子どもが3人だと全く余裕ありません。持っていかれる税金も半端ない。なのに、児童手当は年収制限で1人5000円の特別支給のみ」(40代・子ども2人以上・世帯年収900万以上)

「子どもがどんな進路を選択したとしても諦めなくて良い年収が希望」(30代・子ども1人・世帯年収700万~900万未満)

冒頭でも触れた通り、現在の世帯年収に対する思いは働く主婦個々によって異なるのは当然ですが、上のコメントを見るに「満足」「不満」双方とも「望ましい世帯年収」の背景には、「子どもにかかるお金」「養育費」が色濃くあることがわかりました。

50代以上で満足度は下がる

次にさらに細かく「現在の世帯年収について:年代別比較」を見ていきましょう。

「大いに満足」「やや満足」が最も多いのが40代で、次が30代。双方とも50%以上の働く主婦が現在の世帯年収に対して、おおむね「満足」している結果になりました。

ただし、これが50代以上になると、「大いに満足」「やや満足」が減り、「やや不満」「大いに不満」「どちらとも言えない」が50%以上という結果になりました。

職場ではまだまだ現役で、子どもにもまだお金がかからない30~40代は、おおむね「満足」を得られているように見えます。しかし、これが50代以上になると仕事が限られる一方、子どもの進学や進路などで膨大なお金がかかることで世帯年収に対し「やや不満」「大いに不満」「どちらとも言えない」が過半数を超えたのではないかと考えます。

やはり世帯年収に対する満足度は、「子どもにかかるお金」「養育費」に起因するように見えますが、次に「現在の世帯年収について:子どもの数別比較」を見ていきましょう。

「子どもがいない」働く主婦の半数以上が「大いに満足」「やや満足」と回答したのに対し、「子ども1人」「子ども2人以上」の半数以上が「大いに不満」「やや不満」「どちらとも言えない」と回答しています。ここでも世帯年収に対する満足度は、子どもの有無によっても変わることが示されています。

世帯年収が低ければ低いほど、「満足」からも遠ざかる

これまででわかったことは「子どもにかかるお金」が世帯年収への満足度に大きく影響していることですが、それも「お金」さえ多く稼げるのなら、満足を得られることのようにも思います。最後に、「現在の世帯年収について:世帯年収額別比較(回答者のみ)」を見ていきましょう。

「世帯年収900万以上」の7割以上が「大いに満足」「やや満足」と回答しているのに対し、「世帯年収700万以上900万未満」以下は徐々に「やや不満」「大いに不満」「どちらとも言えない」が増えていき、「世帯年収500万未満」に至っては約8割もの人が、満足とは程遠い実感を抱いている結果となりました。

前項まででは、「子ども」「養育費」に起因するお金の問題から、世帯年収に対する働く主婦の満足度が変わると仮定しましたが、上のデータには、世帯年収が多ければ、そのまま満足度も高まるというわかりやすい結果が数値化されているように感じました。

世帯年収への満足と安心は、さらなる上昇で得られるもの

世帯年収に対する満足度は、家庭環境や生活水準に対する考え方といった様々な要素が反映されるため、今回のデータから見た仮定が絶対的に正しいというわけではありません。しかし、ここまで見た結果をまとめると、働く主婦にとっての世帯年収への満足度は、「子ども」「養育費」の影響を大きく受けやすい一方、高所得の世帯では当然満足度も上がる傾向にあることはやはり事実のようです。

そう簡単に稼ぐことができないのは誰にとっても同じですが、より安心して満足を得る生活をおくるためには、当然世帯年収を上昇させる必要があります。そのためには、働く主婦の方々にもさらなる努力や時代に合わせた工夫が求められている、と言うことができると思います。

出典
【提供元】JOB総研
【調査日】2020年9月16日~2020年9月23日
【調査方法】インターネットリサーチ(無記名式)
【調査人数】607名(既婚女性のみ)
【調査対象】ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOBパート』登録者

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