鷹・小久保ヘッドが感じた若手打者に足りないもの 強打者が備える“空気”とは…

ソフトバンク・小久保裕紀ヘッドコーチ【写真:福谷佑介】

「主力選手にあるゾーン、1人の時間の大切さ、取り組みというかが持てない若い選手が多い」

宮崎市内で春季キャンプを行うソフトバンクは3日に第1クール最終日を迎えた。このキャンプで注目を集めている1人が、9年ぶりにホークスに復帰した小久保裕紀ヘッドコーチ。かつて侍ジャパンの監督も務めたレジェンドが、チームの課題とされている野手育成に乗り出している。

若手選手たちには「1日1000スイング」をノルマに課し、選手たちのスイング量が増えるようにと、打撃回りも8箇所同時に打者が打てるように練習方法も変えた小久保ヘッドコーチ。「技術を固めるにはキャンプの期間しか振り込めない、年間でやっても12か月の1か月。1000スイングくらいはしてほしい、とそれを課した」と語る。

まだ、キャンプが始まってまだ3日。小久保ヘッドにとっても、まだユニホームに袖を通して3日しか経っていない。ただ、このわずか3日間で、練習を見ていく中で、若手選手たちに“足りないもの”を感じたという。

「練習見てて気付いたのは、数を振らそうと(1000スイング)という目安を出したんですけど、振っている姿的に主力選手にあるゾーン、1人の時間の大切さ、取り組みというか、そこが持てない若い選手が多いなと感じた」

「声をかけにくい雰囲気がある選手はこの世界で抜けている」

練習中に醸し出す独特の選手の空気。柳田悠岐外野手や長谷川勇也外野手、松田宣浩内野手といった実績ある選手には、決まって一心不乱にバットを振り、周囲を寄せ付けない空気があるのだという。小久保ヘッドは「練習している時に声をかけにくい雰囲気がある選手はこの世界で抜けている」と語る。

キャンプ第1クールの3日間で、台頭が期待される若い選手には「なんとなく打つというか、打つのはいいんですけど、ゾーンに入って突き詰める姿、それは若い選手にまだないな、と。そういう変化が欲しい。いち早く空気感を敏感に感じ取って、作り上げて欲しい」と望む。

「こればっかりは教えられるもんでもない。漠然とでも振らないよりは振った方がいいんですけど、自分がなんのためにやっているのか、気付いてやっていくものなので」。第1クールから精力的に動き回っていた小久保ヘッドコーチ。その思いに応え、“強打者”の領域に踏み込む若手は出てくるだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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