殿堂入り捕手・ロドリゲス サンチェスの不振は「メンタルの問題」

ヤンキースのゲーリー・サンチェスは昨季、攻守両面でチームの期待を大きく裏切り、ポストシーズンでは正捕手の座をカイル・ヒガシオカに譲った。しかし、アメリカ野球殿堂入りを果たしている名捕手イバン・ロドリゲス(2008年にヤンキースでもプレー)は「彼は攻撃面でも守備面でも素晴らしい能力を持っている」とサンチェスの能力を称えている。そして、「彼が攻守両面で苦労していることは知っているけれど、メンタルの問題が大きいと思う」と指摘した。

ヤンキースは今オフ、サンチェスをノンテンダーFAとしてヤディアー・モリーナなど別の捕手の獲得に動く可能性も取り沙汰されたが、最終的にはサンチェスのポテンシャルに賭けることを選択。ブライアン・キャッシュマンGMは「彼がまだヤンキースに所属しているという事実は、我々が彼についてどう感じていたか、どう感じているかの証拠だ。我々は時間や努力、お金といったものを彼に投資してきた。彼がそれを正当化してくれるのを楽しみにしている」とサンチェスへの期待を口にしている。

昨季は控えに回るケースも多くみられたが、ロドリゲスは「ヤンキースがすべきことは、彼に野球をプレーさせることだ」と主張する。「彼はプレーする準備ができた状態でスプリング・トレーニングに合流し、ピンストライプのユニフォームを着ることや野球をプレーすることを楽しむ必要がある。チームメイトと一緒にプレーして、自分ができることをやればいいんだ。私は彼が攻守両面で素晴らしい選手になれると知っている」と語り、「楽しむこと」を復活のカギに挙げた。

捕手コーチのタナー・スワンソンは「彼がまだ比較的若い選手であるということを我々は忘れていると思う」と語る。「彼はキャリア序盤に多くの成功を収めてしまったから、期待値が理不尽なほどに上がってしまっているんだ。もちろんそうあるべきだし、選手もそれを望んでいると思うけれど、彼の物語はまだ終わっていない。我々が望むような選手に彼がなると私は確信しているよ」と28歳の正捕手のことを思いやった。

サンチェスはスワンソンの指導の下、フレーミング改善のために昨季から守備時に片膝をついた構えを取り入れている。新しい構えに慣れることができず、失策や捕逸を犯す場面も目立ったが、スワンソンは「最後の10~15試合は地面でバウンドしたボールへの対応が非常に良かった。シーズンがもっと長ければ、さらに良くなっていたと思う。彼の最終到達点は数字よりもはるかに良かったよ」と一定の評価を与えている。

一方、ロドリゲスはヤンキースの方針を理解しつつも、「彼は身体が大きいから、片膝をついた構えに少し苦労していると思う。片膝でブロックをするのは簡単ではないからね。片膝を続けていくのであれば、練習をして慣れる必要がある。もしヤンキースがサンチェスのやりたいようにやらせるなら、それも悪いアイディアではないと思うよ」とあくまでもサンチェスに快適にプレーさせることが最も重要と考えているようだ。

球団やファンからの大きな期待というプレッシャーのなかでプレーすることを余儀なくされているサンチェス。それを楽しめるようになったとき、いよいよ本格開花を迎えることになるのかもしれない。

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