「教育費が足りない!」娘の浪人と夫の収入UPで助成金対象外になり狂った家計

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、49歳、パートの女性。これから受験・進学を控えた子どもが3人いる相談者の家庭。ところが娘が浪人し、夫の収入UPで助成金が対象外となり、赤字ギリギリになっているといいます。どのように改善していけばいいでしょうか? 「横山光昭のFPコンサル研究所」のFPがお答えします。

子どもの教育費が足りません。

我が家には浪人生の長女、私立高校2年の長男、中学1年の次女と、これから受験・進学を控えている子どもが3人います。ですが保有している蓄えは、社内預金が約300万円、積み立てている投資信託が約350万円だけです。

毎月の手取り収入は夫婦で58万円ほど。支出も同じくらいで、毎月収支トントンか赤字傾向です。もちろん貯金は増えません。夫のボーナスが3年ほど前から大幅に増えたため、毎月が無理ならボーナスからだけでも貯金したいと思っているのですが、赤字の補てんや高校の授業料や学用品、塾の夏期・冬期講習、その教材など教育費でなくなります。不足するときは銀行にあった150万円の貯金をおろしていましたが、その貯金はなくなってしまいました。

長女が浪人するとは思わず、予定外の予備校代がお金の計画を狂わせました。また、長男は「私⽴⾼等学校等特別奨学⾦」を利用して私立高校に通うはずでしたが、夫の収入が増えたことで年収制限にかかり、利用できなくなりました。これも予定外です。

このようなことで貯金が減っており、今後の教育費が心配なのです。これからもこの状態が続いたら、社内預金もおろすことになるでしょうし、老後のためにと思っていた積立投資信託も売らなくてはいけないかもしれません。不安に思う反面、子どもの教育費をしっかり出すことが親の務めであるとも思ってしまいます。

子どもに不自由をさせず、かつ老後資金を準備するというような、都合の良いことはできないものでしょうか。

【相談者プロフィール】

・女性、49歳、パート

・同居の家族について:

夫(50歳・会社員)、長女(浪人生)、長男(高校2年生)、次女(中学1年生)

・毎月の世帯の手取り収入: 57万7,000円

・年間の手取りボーナス:夫のみ約110万円

・貯金:約300万円(社内預金)

・投資信託:約350万円

・毎月の支出の目安:57万7,000円)

【毎月の支出の内訳】

・住居費(家賃):13万2,000円

・食費:10万6,000円

・水道光熱費:2万7,000円

・通信費:2万3,000円

・生命保険料:9,000円

・日用品代:2万5,000円

・教育費: 8万7,000円

・自動車関連費:53000円

・被服費:2万5,000円

・交際費: 2万8,000円

・嗜好品(酒):1万円

・こづかい:2万円

・その他:3万2,000円


FP:ご相談ありがとうございます 。「横山光昭のFPコンサル研究所」のファイナンシャルプランナー安濃一史です。お子さん3人の受験・進学が重なり、貯金が増えず、今後の教育費と老後資金の準備が不安なのですね。人生の中でお金を貯めにくい時期なので、毎月赤字でないだけでも前向きに考えて、現状を少しでも改善できる方法を考えていきましょう。

今後必要な教育費と目標貯金額

複数のお子さんが受験・進学を控えているご家庭は、教育費が家計の大きな負担です。ご相談者の家計は現状赤字ギリギリのため、ボーナスで貯金することを検討されているのですね。ならば、まずはボーナスで毎月の赤字を補てんしない家計づくりが必要です。ただ、家計を改善していくにも今後かかるであろう教育費がいくらなのか知らないと、具体的にいくら貯めてよいかわかりませんよね。おおよその金額を知っておきましょう。

長女が私立文系大学に進学した場合、4年間の学費や学用品代で約450万円見込んでおきましょう。長男も同じように進学すると約450万円必要です。次女が公立中学の3年間で約140万円(学校外活動費も含む)、公立高校の場合は年間で10万円もかかりませんが、私立高校に3年間通うとすると、約300万円かかり、合計約1,340万円(次女の大学も含めれば約1,800万円)は必要になります。あくまで目安にはなりますが、4年後には3人のお子さんの学費が重なってかかることが予想できますので、ここ3年は年間200万円、4年後には300万円が負担できるように検討をしていきましょう。

教育費以外の「固定費」を見直して、貯蓄を目指す

教育費を貯めていくに支出の見直しをしていきましょう。毎月の手取り収入がご夫婦で57万7,000円に対して支出も同額です。学費に関わる臨時支出があると、すぐに赤字家計になってしまいます。ですから、まず「固定費」から見直しましょう。

自動車関連費が総支出額の約1割を占めております。車を所持することによって、毎月5万3,000円、年間63万6,000円が車検、ガソリン代、駐車料としてかかります。例えば、年に1回15万円を2回、家族で旅行に行く時はカーシェアを利用するだけでも支出が約30万円抑えられます。もし日常からの通勤に利用する以外であれば、車を手放してカーシェアを利用するのも検討してみましょう。

家賃に交渉の余地は?

住居費は、引越しをすることで家賃を下げることも出来ます。しかし、子どもの学区や引越しによって生活環境が大きく変わるため、簡単には引越しはできない場合が多いでしょう。その場合は、マンション住まいであれば、更新の際に「家賃を下げられないか交渉する」余地があります。仮に月5,000円家賃を下げられれば、年間で6万円が貯金にまわすことができます。

近年では、人口減少によって空き家も増えており、大家さんにとっても入居者がいないよりは少しでも家賃が下がったとしても入居してもらっていた方が良いでしょう。賃貸物件の不動産HPを確認して、相場を定期的に確認したりして交渉できないか検討してみる価値があります。

通信費はプランの見直しや家族割を活用して

通信費は、プランの見直しをしてみましょう。格安SIMの携帯会社に乗り換えを検討してもよいですし、大手会社の従来のプランを契約しているのなら、乗り換えるだけでも月々8000円程から月々3000円程まで安くできる可能性があります。ただ、最近は大手会社も安いプランを次々と出しています。携帯電話のプランはまめに検討して、家族間では通信会社を揃えて割引や家族間通話が無料になるようなサービスを利用する方法も考えてみましょう。

家族で話し合って目標と今後かかる費用を共有する

子どもに不自由させずに、かつ老後資金を準備するためには家族の協力が必要不可欠です。子どもたちも大きくなるにつれてお金について考える機会を持つことは大切なことなので、大学進学にかかる費用や学費についても話し合うことも必要です。

長女の大学進学後は、アルバイトをして家庭に収入を入れてもらうのも、1つの方法です。携帯代金や被服代などはアルバイトからやりくり出来るようにすることで、お金の使い方のバランスも身に付けることが出来るようになるでしょう。

また、奨学金の利用も検討も考えられます。教育費の不足が見込めたら、早めに子ども自身と相談し、利用の検討をしましょう。卒業後に返還するので、無理のない返済となるように、シミュレーションなどを活用すると良いでしょう。ですが、奨学金は子ども名義でする借金です。なるべく奨学金は借りずにするために、今から少しずつ家計を改善するのが一番です。

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