これも「田中効果」か 楽天主力投手が〝超特急仕上げ〟なワケ

ビュンビュン投げ込む左から涌井、滝中、牧田、松井、岸

これも一つの「田中効果」か。球界髄一と言われる楽天投手陣の仕上がりの早さがキャンプ地で話題を呼んでいる。

昨季最多勝に輝いたベテラン涌井や岸、牧田らがキャンプ初日から4日連続でブルペン投球を見せると、則本昂も負けじと初日から3日連続のブルペン入り。3日目は捕手を座らせて51球の〝熱投〟を披露した。今季から抑えに再転向した松井も3日目を除き連日、捕手を座らせて力強い球を投げ込んでいる。

キャンプ序盤のブルペン投球と言えば、若手のアピールに注目が集まるもの。ベテランや主力投手が投げても、その目的は直球や変化球の球筋確認やフォーム固めが一般的だ。ところが、今年の楽天キャンプの様相は明らかに異なる。ベテランを中心に意欲的な調整が続いているのだ。長年楽天を取材する東北在住の報道陣ですら「今年は異例の早さ。いや、ちょっと早過ぎる」と目を丸くするほどの調整具合はなぜなのか? 背景には田中将大(32)の電撃加入があると言われる。

元ヤンキースの剛腕が投手陣に加わったことで先発争いは例年以上に激化。現時点で先発枠は田中将に加え、涌井、岸、則本昂のいわゆる「四天王」が当確と言われる。しかし、この4人ですら「安泰」というわけではない。

実際、石井監督は3日の会見でここ2年で計10勝に終わっている則本昂の名を挙げ「今年ダメだったらあまりいい方向に進まない」と猛ゲキ。あえて公の場で奮起を促した。こうした田中将の加入による競争激化がベテラン勢や主力投手に無言の刺激を与え、結果的に投手陣の仕上がりを早めているとみられる。

石井監督はこの異例事態をむしろ歓迎しているようで「(ベテランや主力が)ブルペンに毎日顔を出してしっかりやってくれている。若い選手にとっても参考になるし、励みにもなる」と笑み。チームの底上げに手応えを感じつつあるだけにうれしい限りなのだろう。

田中将の加入で知らぬ間にチーム内の空気が変わりつつある楽天キャンプ。その影響力は目の前にいなくても計り知れない。

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