部活動指導員の配置 長崎県立高13校にとどまる 人材、予算確保に課題

 教員に代わり運動部や文化部の顧問を務めたり、大会で生徒を引率したりできる非常勤職員の「部活動指導員」。長崎県教委は2019年度から5カ年計画で県立高(全日制)の全54校に1人ずつ配置する方針だが、20年度時点では13校にとどまっている。教員の働き方改革につながる取り組みとして推進する一方で、配置がスムーズに進まない背景には、人材の確保や、予算上の都合など課題が横たわっているようだ。
 県教委によると、部活動指導員の活動時間の上限は年間210時間。労災保険や引率費用などを含め、県が1人当たり年間約39万円を支給している。人材はボランティアでコーチを務める「外部指導員」や競技団体所属の指導者、退職した教員などを想定。仮に全校に配置した場合の県の財政負担は、単純計算で年間2106万円に上る。
 県立高で運動部に部活動指導員を配置しているのは、五島高、国見高、小浜高、長崎北陽台高、清峰高、北松農業高、松浦高、諫早高、佐世保北高、佐世保工業高、大村城南高の11校。西陵高、五島海陽高の2校は文化部に配置した。配置校では、部活中に顧問が職員室で別の業務をしたり、会議に参加したりできるため、時間外勤務の縮減に効果が出ているという。
 一方で、人材の確保は各学校が担わなければならない。県立高で活動している外部指導員を充てれば解決しそうな問題だが、時間の拘束に加え、ボランティアとは違い一定の責任も発生するため、二の足を踏む人も少なくない。学校が何とか人材を確保したとしても県の予算が付かなかった場合は配置できないジレンマもある。
 県内のある高校で部活動指導員を務める30代男性は「地域貢献にもつながり、やりがいを感じている」と語る。それでも配置が進まない現状については「時間制限や金額を含めた環境が中途半端。そもそも制度を知らない人もいるので、県や学校の周知の仕方に改善の余地があるのではないか」と指摘した。

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