コロナ渦で寄付額は過去最高!ふるさと納税のいま

返礼品が貰える「ふるさと納税」は新型コロナの巣ごもり需要で人気が高まっていて、道内で初めて寄付額が100億円を突破した自治体もあります。人気のワケとは?

過去最高額を更新!道内初の100億円超も

ふるさと納税の寄付額で2019年度に道内上位3位に入った自治体(紋別市、白糠町、根室市)。2020年度は過去最高の寄付額となる見通しです。
12月末時点で、根室市は115億8800万円で前年度の1.7倍に。紋別市も100億円を超えていて、道内で初めて100億円を突破しました。また白糠町もすでに過去最高となる90億円を超えています。
その理由について、ふるさとチョイス広報の田中絵里香さんは「コロナでリモートワーク等でお家時間が長くなっていて、パソコンや携帯などからふるさと納税に触れる機会が増えた。仕入れ先がなくなって在庫が溜まっていたり、価格割れが起きていて、普段より量が多い返礼品も出てきている」ことを挙げています。

寄付額の使い道は?

返礼品を目当てに集まった寄付を自治体はどのように活用しているのでしょうか?
紋別市では広域紋別病院の医療体制維持やアザラシの保護活動などに寄付金が使われていて、その内訳は市のホームページで見ることができます。
また白糠町では4年前からふるさと納税を活用して子育て支援にチカラを入れています。その中身は驚くべき手厚いものでした。
①出産祝い金5万円(商品券)②小学校入学時2万円、中学校入学時3万円(商品券)③保育料無料④幼稚園から中学校までの給食費無料⑤18歳まで医療費無料。
さらに3年前にできた保育園ではピアノに絵本、遊具に食器など多くの備品の購入にふるさと納税があてられました。
こうした子育て支援を目的に白糠町に移住した人は過去4年間で33世帯112人にのぼります。また白糠町では新築建設する人に町有地を無償で提供する取り組みも行っています。
人口7500人の白糠町は毎年200人ずつ人口が減っていく計算だといい、新しい若い世代は町の存続のためにも大切な存在です。

ふるさと納税制度には不安要素も

過去最高額の90億円を突破した白糠町ですが、10月末までは前年度の1.8倍で、最終的に100億円を大きく上回るペースのはずでした。しかし年末にかけて寄付額の伸びが鈍化したといいます。
白糠町の棚野孝夫町長は「近年サケの大不漁で、去年は特にひどかった。人気の道産イクラを十分に確保することができなかった」と話しています。
それもそのはず、去年道内の秋サケの水揚げ量は5年前の半分にまで落ち込みました。自然相手のため、持続的に返礼品を用意できるとも限らない課題が浮き彫りになりました。
白糠町ではロシア産のイクラやノルウェー産高級サーモンのほか、水産物以外のチーズや羊肉などの返礼品にも力を入れています。

ふるさと納税制度はいつまで?

棚野町長は「ふるさと納税が好調で、返礼品を提供している町内の水産加工業者の収入も上がってきている。一方でふるさと納税制度が永遠に続くということにはならないと認識している。仮に3年後に制度が廃止になってもいいように町運営をしていく必要がある」と話しています。
ふるさと納税は寄付した額が次の年の住民税などから控除される仕組みです。つまり自分が住む市町村の税収が減ることを意味します。地方創生に繋がる一方、自分の市町村の税金になるはずだった寄付額のがどのように使われているかしっかりと見つめる必要がありそうです。

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