昨季最多勝・森さくら、涙の勝利「卓球から離れたい思いもあった。でもそれはただの逃げ」

<卓球・ノジマTリーグ2020-2021シーズン 2月5日(金)>

5日、卓球Tリーグは女子1試合が行われた。

試合は、2位の日本生命レッドエルフと3位の日本ペイントマレッツの組み合わせで行われ、日本生命が3-1で勝利し、1位の木下アビエル神奈川との勝ち点差を2ポイントまで縮めた。

“勝つことだけにこだわって”気迫あるプレーを見せた

写真:前田美優・平野美宇ダブルス(日本生命レッドエルフ)/提供:©T.LEAGUE

第1マッチのダブルスでは平野美宇/前田美優ペア(日本生命レッドエルフ)が永尾尭子/サウェータブット・スターシニーペア(日本ペイントマレッツ)に2-0で勝利した。続く第2マッチでは森さくら(日本生命レッドエルフ)がカットマンの小塩遥菜(日本ペイントマレッツ)を3-0のストレートで下した。

昨季最多勝の森は試合後に、「起用してくれる監督やチームに感謝してプレーした。全然満足行くプレーではなかったが、勝つことだけにこだわってやったので、本当に嬉しかった」と喜びを爆発させた。

写真:平野美宇(日本生命レッドエルフ)/提供:©T.LEAGUE

第3マッチではユ・モンユ(日本生命レッドエルフ)がフォン・ティエンウェイ(日本ペイントマレッツ)に0-3のストレートで敗れたが、続く第4マッチで平野がスターシニーに3-0で勝利し、3-1で日本生命が勝ち点3を獲得した。

スコアの詳細と、各選手・監督のコメントは以下の通り。

森さくら(日本生命レッドエルフ)コメント

写真:森さくら(日本生命レッドエルフ)/提供:©T.LEAGUE

勝利後、涙を見せていたが

前回のビクトリーマッチ(加藤美優に7-1リードから逆転負け)は一生忘れることないくらい悔しい。今も全然吹っ切れていない。私が負けてチームも負けて、最悪な状態だった。こんなに自信がないと思ったのは初めてというくらい厳しい2、3週間だった。

勝ちを求められているこの世界で、こんなに負けているのにというのがあって…起用してくれる監督やチームに感謝してプレーした。前の自分だったら入っていたボールもあって、全然満足行くプレーではなかったが、勝つことだけにこだわってやったので、本当に嬉しかった。

不調の原因に関して

全日本の前に怪我をして、全日本も途中棄権。そこからあまり調子があがっていない。痛みはないが、かばってしまい自分らしいプレーができずにいる。

前回の試合後からの取り組みについて

コーチに「技術が他の人より劣っているから基礎を改めた方が良い」とハッキリと言ってもらい、オール形式や試合形式のような練習は一切やらずに、フットワークやサーブ練習、レシーブ練習と基礎をやり込んだ。

24歳だから、引退だったり卓球から離れたい思いも正直あった。でもそれはただの逃げ。自分と1から向き合っていかないとダメという気持ちで、この2週間、1から基礎を見つめ直してきた。

声を出すかどうかに関して

今、インターネットで全日本やTリーグが見られる環境になって、自分の声が耳障りだという声もたくさん聞きますし、自分の中で変えていかないといけないと思った。

静かにプレーしてみたが、自分の調子が掴めなかった。また批判や厳しい声が届くと思うが、自分らしくやるために、今回は声を出しました。

今回の勝利で前向きになれたか

自分が求めているなりたい理想像に近づけていないし、100%のパフォーマンスをできたとも思っていない。少しでも良いので、次の試合、自分に自信があるプレーができたらいいなと思っている。

村上恭和監督(日本生命レッドエルフ)コメント

写真:村上恭和総監督(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部

本日の試合を振り返って

ファイナルに行くために重要な試合。ぜひとも勝ちたいと思っていた。ダブルスはペアを組んで一番調子よく、ダブルスで勢いづいて、3-1で勝つことができた。

平野美宇の状態について

本人も言っていたが試合勘がなかった。レシーブが特に悪くて、4球目のパターンが作れていなかった。ただ今回は、直前にトレセンでナショナルチームの合宿をしてきた影響もあってキレが良かった。

森さくらのプレーについて

森さくらはヨーロッパチャンピオンズリーグに行ったあと、コロナ禍で声を大きく出すのは良くない中で、声を出すかどうかを悩んでました。静かなときも実は石川佳純に勝っているが、コロナ禍で自分のパフォーマンスの発揮の仕方をなかなかつかめずにいた。

前回の日本ぺイント戦、ビクトリーマッチで加藤美優に7-1リードから逆転負け。最も重要なところで出て、その点差を逆転されたのは彼女の卓球人生の中で初だと思う。そこから少しプレーに自信を無くしていた。今回は初心に返り、声を出すスタイルに戻し、闘争心を高いレベルに保っていたので良いプレーができていた。

三原孝博監督(日本ペイントマレッツ)

試合を振り返って

大阪ダービー最終決戦ということで、なんとか勝ち星を挙げて(直接対決)4勝3敗としたかった。日本生命レッドエルフさんの底力、平野美宇の安定した強さ、ダブルスの強さ、森さくらの力強いプレー、そういったものが良く見えて、精神的には向かっていく気持ちで臨んだ試合ではあったが負けてしまいました。

ファイナルに向けて直接対決最後だったが

勝てば次につながる形になったが、どうしても加藤と馮天薇に頼ってしまっているチームなので、ここをどう変えていくかが今後の課題。ただ、ファイナルの芽がないわけではない。次もベストな状態で挑んで、日本生命さんに「まずい、近づいてくる」と思ってもらえるように1本でも多くとりたい。

日本生命レッドエルフ 3-1 日本ペイントマレッツ

写真:日本生命レッドエルフ/提供:©T.LEAGUE

〇平野美宇/前田美優 2-0 永尾尭子/サウェータブット・スターシニー
11-5/11-2

〇森さくら 3-0 小塩遥菜
11-8/11-10/11-6

ユ・モンユ 0-3 〇フォン・ティエンウェイ
7-11/3-11/8-11

〇平野美宇 3-0 サウェータブット・スターシニー
11-2/11-7/11-5

文:ラリーズ編集部

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