「通常に戻せる」喜び 「厳しさ続く」悲観も 長崎県内時短営業解除へ

県独自の緊急事態宣言が解除される長崎市の中心部。専用病床の約3割が埋まっており、引き続き感染防止対策の徹底が求められる

 飲食店の営業時短要請解除を長崎県が表明した5日、要請に応じた店からは「通常営業に戻せる」と喜ぶ声の一方、「厳しい状況は続く」との悲観的な声も聞かれた。同じく打撃を受けながらも要請対象外のため協力金を受け取れない納入業者は、県が支援に前向きな姿勢を示したことを歓迎した。

 島原市で居酒屋を経営する金子明弘さん(61)は「みんながまた働けるようになり、お客さんも喜んでくれる」と解除を歓迎。ただ県内の一部ではまだ「不要不急の外出」の自粛が求められており、「客足が戻るには時間がかかるだろう。医療関係者や公務員の皆さんは特に」と予想した。
 壱岐市と経済的交流が深い福岡県はいまだ緊急事態宣言下にある。同市郷ノ浦町の食堂「かもめの朝ごはん」の客層はほとんどが観光客。代表の永村義美さん(62)は「福岡の規制が解除されない限り状況は変わらない。このままだと店を閉めざるを得ない」とうなだれる。「従業員の生活を守る」ためにも県市の経済対策に期待を寄せた。
 佐世保市で外国人バーを営む男性(38)は「家賃や給与を支払うのに協力金(1日4万円)はありがたかった。もらえなくなるのは痛い」。感染が相次いでいる米軍基地の関係者は姿を見せず、日本人客相手だけでは4万円も稼げそうにない。「また厳しくなる」とため息をついた。
 ハウステンボス(同市)は8日から、平日の営業時間を通常の午前10時~午後9時に戻す。土日祝日も午前10時~午後9時と延長したが、通常に比べればまだ2時間短い。
 長崎市銅座町の甲田鮮魚銅座店は、取引先の8割超が周辺の飲食店。そのほとんどが休業した。会員制交流サイト(SNS)で熱心にPRしているが、1月の売り上げは前年同月比6~7割減。店主の妻、甲田千鶴さん(51)は県の支援検討を「ありがたい」と受け止める。その上で「飲食店は規模の大小にかかわらず協力金が一律で不公平感もあると聞く。納税額に応じて支給額を決めるような工夫を」と求めた。近くの酒店も売り上げが9割減。店主は「早く支給してほしい」と願った。


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