鷹・松田を突き動かす向上心 GG賞の連続受賞途切れても「10回を目指している」

キャンプで守備練習をこなすソフトバンク・松田宣浩【写真:福谷佑介】

若手の元気のなさに物足りなげ「微々たる部分かもしれないけど、大事な部分」

ソフトバンクの”元気印”と言えば、37歳のベテラン松田宣浩内野手をおいて他にはいないだろう。1日から始まった宮崎キャンプでも、無観客にも関わらず連日ハッスル。球場の外にまで響き渡る大声で、チームの空気を盛り上げている。

昨季はシーズンを通して打撃の状態が上向かず、116試合の出場に終わった。2014年から続けていた連続試合出場は815試合でストップ。打率.228、13本塁打に終わり、2013年から7年連続で受賞していた三塁手でのゴールデン・グラブ賞も逃すことになった。ただ、松田の“熱い”ハートは、今季に向けてより一層燃えている。

第2クール初日となった5日の練習でもチームの先頭に立ってハッスル。シート打撃、フリー打撃と全体メニューをこなすと、若手のリチャード内野手、“マスオ”こと増田珠内野手とともに特守に臨み、大きな声をあげながらノックの嵐を浴びる元気さは若手をも凌ぐものだった。

特守を終えた松田は「もっと来てほしいって感じだよなー、もっともっと来る感じがあってもいいんだけど」と若手の覇気に物足りない様子。「野手として微々たる部分かもしれないけど、大事な部分。ダラダラやってたら意味はないし、ピリピリやりたい」と、自身が大切にする声の重要性を説いた。

37歳ながら特守も特打も平然とこなす「どんだけ捕ったか、どんだけ打ったか」

そんな松田、若手にポジションを奪われるつもりなど毛頭ない。昨季、楽天の鈴木大地内野手に奪われたゴールデン・グラブ賞の奪還へ「連続受賞が止まったんで、キャンプはやらないといけないと思いますし、連続して取れていたら『今年もこうやればいいんだ』という感じになりますけど、止まった去年があるんで、もう1度チャレンジャー、奪い取るっていうのもある。10回を目指しているので、9回目がないと10回目はない。止まったのでもう1回頑張りたい」と掲げる。

ベテランになっても豊富な練習量は変わらず、特守や特打も平然とこなす。全体練習後にロングティー打撃に汗を流すのもキャンプでは見慣れた景色だ。「特守もやらなかったら、やらなかったでいいんですけど、それじゃ自信もつかない。数をこなさないとね。ロングティーと守備の個別練習はやらないと。どんだけ捕ったか、どんだけ打ったかなんで」。この意識が長く第一線で活躍してきた土台となっている。

「去年よくなかったので、今年はやってやりたいな、体が痛くないのでやれるという期待を持っている。ゆっくりしていたらダメなので、しっかりバッティングも守備もやっています」。再び輝きを取り戻して見せる。たゆまぬ向上心を胸に、松田宣浩は16回目のキャンプに挑んでいる。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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