永井隆平和賞に佐々木氏 「核医学で先駆的な成果」

本田所長から賞状盾を受け取る佐々木氏(右)=長崎県東京事務所

 原爆被爆や放射線被ばくの治療、研究に貢献する個人・団体に贈る第13回永井隆平和記念・長崎賞に、湘南鎌倉総合病院の佐々木康人放射線治療研究センター長(83)=東京都在住=が決まり5日、東京都の県東京事務所で授賞式があった。
 同賞は、被爆医師の故永井隆博士の平和希求の精神を受け継ごうと、県や長崎市、長崎大などでつくる長崎・ヒバクシャ医療国際協力会(NASHIM=ナシム)が隔年で受賞者を選定し贈っている。
 佐々木氏は、核医学分野で診断法を開発・研究し、重粒子線治療の臨床応用を主導。日本の原子力史上で初めて被ばくによる死者が出た1999年の茨城県東海村の臨界事故では重度被ばく者の治療を指揮した。東日本大震災の福島第一原発事故の対応や原爆症の新しい認定基準を定める際も深く関わった。
 これまで授賞式は長崎市で行ってきたが、今回はコロナ禍の影響で長崎と東京をオンラインで結んで開催。NASHIMの森崎正幸会長が「佐々木先生は核医学において種々の先駆的な成果を上げられた」とあいさつし、本田和人県東京事務所長が賞状盾や副賞を手渡した。佐々木氏は「永井隆先生の思いをつないで平和への願いを子や孫の世代に伝える役割を少しでも果たしたい」と語った。

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